ヨーロッパで起こった第一次世界大戦は激しい塹壕戦となり、その結果各国は疲弊していきました。それまでの国際政治はヨーロッパが中心でしたが、第一次世界大戦ののちにはアメリカや日本といった新興国が台頭してきたのです。

その当時、第一次世界大戦のような激しい戦争がヨーロッパで起こるとはほとんど考えられていませんでした。有名な話ですが、1907年にイギリス人ジャーナリストであるノーマン・エンジェルは『大いなる幻想』という本を発表しています。この本のなかで、エンジェルはヨーロッパにおける大国間の金融、経済の相互依存は密であることから、戦争というものは起こり得ないと主張したのでした。

実際に、戦争が起こったのはドイツやフランスが直接戦うという形では始まりませんでした。オーストリアがセルビアに対して宣戦布告し、セルビアの同盟国であるロシアが動員を開始し、それを見たドイツも動員を開始するというドミノ倒しの形で始まって行ったのです。

ここで第一次世界大戦の歴史を短く見てきたのには理由があります。その経過があまりに現在のヨーロッパの金融危機に似ている点があるからです。

ユーロができた当時から、ユーロはアメリカに対抗できる唯一の通過だとおだてられ、ヨーロッパの人々もまたそれを信じてきた節もあります。

また第一次世界大戦がセルビアという小国で始まったように、今回の通貨危機もギリシャという現在のヨーロッパの中心とはかけ離れたところから始まっています。

さらにヨーロッパの大国は兵力の逐次投入という愚を犯し、激しい塹壕戦におちいりました。これなどもギリシャ救済の手法によく似ています。

このままの状態で推移すると、ヨーロッパは金融の塹壕戦になり、最後はドイツ、フランスといった大国もヘロヘロになってしまうのではないかと予想されます。

筆者はそうならないことを願っています。