三橋貴明さんは「復興のために政府の国債発行、公共投資、日銀の国債引き受け(もしくは金融市場からの買入)を実行すれば、まさに思い切った財政出動と金融緩和になるわけです。」とデフレからの脱却を一貫して書いておられます。

ではなぜ日銀と大蔵省は協力できないのでしょうか。

私は、日銀と大蔵省の関係を見ていると戦前の陸軍と海軍の関係を思い出します。帝国陸軍の仮想敵はソ連で、帝国海軍のそれはアメリカでした。このようにそれぞれ別の仮想敵を持つ組織はなかなか協力できず、太平洋戦争中も東條首相は海軍がミッドウェーで負けたことも知らなかったそうです。これでは戦争に勝つことはできません。

現在も大蔵省は財政問題のみに注視し、大臣になる政治家をことごとく増税論者にあからさまにしたてあげています。戦前の帝国陸軍と同じような強引なやり方です。

一方、日銀は自分のバランス・シートのみを気にかけ、それを汚されることを非常に嫌がります。そのためいつも金融緩和が遅れてしまうのです。帝国海軍は戦前スマートと形容されることが多かったのですが、実際は非常にずるかったのです。日銀にもそれが当てはまるような気がします。

結果として、日本国としてはデフレからなかなか脱却できないのです。次に政治方面をみてみます。

戦前の明治憲法では首相の力が弱く、歴代首相は軍の統制に苦労します。そこで、近衛内閣時代にできたのが、大本営政府連絡会議というものでした。この組織で軍部を統制しようと近衛首相は考えたのでした。

現在の首相の権限は戦前と比べて強くなっていますが、現在の民主党の場合、政府と党が一致できません。そこで作られたのが「政府民主連絡会議」というものでした。大本営政府連絡会議と名前からしてよく似ています。

このように戦前日本を苦しめた要因は、現在も確実に苦しめています。