小泉政権以後、日本の首相の任期が短い理由の一つに衆参の逆転現象が関係しているように思われます。

トッド クロウウェルは日本政治の機能不全はアメリカのせいだというコラムの中で次のように指摘しています。

「アメリカは占領期にたくさんの良いこともした。しかし、日本の参議院を強くしすぎた。(マッカーサーが憲法を書くことによって)日本の参議院はどの国よりも強力である。イギリスの上院よりもアメリカの上院に似ている。数少ない例外を除いて、日本の参議院で否決された法案は、延長されるのでもなく修正されることもなく、ただ否決されるのだ。」

さらに彼は、日本の保守派が憲法改正を語ると、すぐに9条に集中して参議院の問題にまで考えが及ばないし、左派も憲法9条を守りたいがために「護憲」という憲法の全てを守ろうとする奇妙なアプローチをとっていることも指摘しています。

このために日本国内は憲法をめぐって真っ二つに分かれているのです。

また、このコラムでは書かれていないことですが、日本の憲法をめぐってはアメリカでも一致していません。

ジョセフ ナイのようなリベラル派は日本の憲法改正には反対です。彼はその立場をはっきりと公言しています。またリチャード アーミテージのような保守派は日本の憲法改正には好意的なようです。

このように日本でもアメリカでも憲法問題は9条に集中しており、誰も参議院のことなど考えていないのです。

結果的にこれからも日本政治の機能不全は続いていくのです。