ハーバード大学のワルト教授のブログから要約します。

 ノルウェーで連続テロ事件が起こったときに、アメリカの右派系の人は直感的にアルカイダなどのイスラム原理主義の犯行と思ったようで、実際に多数の人が確かめもしないで書いたそうです。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの論説も次のように書きました。

「ノルウェーはイラク戦争に参加しなかったし、またストルテンバーグ首相がイスラエルに対してガザとの国境を開放しろと言ったり、ファタとテロリストのハマスに対して統一した政府を作るよう呼びかけたことは、何の恩恵も彼らに及ぼさなかったのである。」

 完全にイスラム系の犯行と思っているわけです。

 ところが実際の容疑者は、イスラム系ではなく青い目をした白人でした。さらにアメリカの右派にとって都合の悪いことは、ブレビク容疑者はアメリカの反イスラム・サイトの言論にかなり影響されてあのような犯行を行ったようです。

 そこで、ワルト教授は次のように指摘しています。

 「ゲラーやスペンサーといった(反イスラムのサイトを作ってきた人々)には直接の責任は無いが、西欧とイスラムの文化的争いを想像し促進することによって極端な人が過剰な反応を起こす素地を作り上げた責任は存在する。」

 イスラム原理主義者には西洋に対する偏見が存在しますが、西欧の原理主義者たちにもイスラムに対する抜きがたい偏見が存在するのです。

 だから戦争が続いているわけです。

 日本にとってこのような戦争から距離をとることが国益になります。