ジョージ・フリードマンの最新刊 The Next Decade を読みました。彼の分析は日本を含め全ての地域を網羅しているのですが、今回は今最も加熱している中東情勢について取り上げてみます。

 彼は、冷戦中にアメリカがイスラエルを応援することには意味があったが、冷戦後イスラエルを支持し続けることでアラブ人の不必要な反感がアメリカに向いていることを懸念しイスラエルとの距離をとることを勧めています。

 またフリードマンは、以前オバマ大統領はイランに対して軍事力を行使するのではないかと書いていましたが、今回の本では少しニュアンスが違っていました。

 彼はアメリカがイランを攻撃することはあまりにもリスクが大きいと考えているようで、イランを攻撃するよりも、イランと結びつく方がアメリカの国益にとってはより有益だと書いています。

 その際、ニクソン大統領が中国に対してアメリカの立場を180度変えたことを例に挙げ、それと同じことをイランに対しても行うべきだと書いています。

 イスラエルに対して距離を置くこととイランと協調することは、スティーブン・キンザーの Reset Middle East にも書いてありました。

 変なイデオロギーにとらわれず、中東をありのままで見たら、そのような結論になるのでしょう。

 しかし、私はそのような見方をする識者が現在のアメリカで多数を占めているようには思えないのです。