スティーブン・キンザーという人が書いた Reset Middle East という本を読みました。

 現在、アメリカ政府は中東政策を遂行するのにサウジアラビアとイスラエルをパートナーとして考えています。

 しかし、キンザーはそのパートナー選びは間違っていると主張しています。トルコとイランこそが将来の中東の安定のためには欠かせない相棒だと考えているようです。

 なぜならこの2カ国だけが、内発的に近代化を達成しようとした歴史があるからだとこの本で書いています。

 両国とも第一次大戦が起こった時代に、トルコではケマル・アタチュルク、イランではレザ・シャー(パーレビ王朝の創始者)が日本の明治維新に匹敵する改革を行っているのです。

 ところが、歴史の皮肉というべきかトルコと共にもっとも民主主義を中東で発展させる可能性のあるイランとアメリカがいがみ合い、中東でもっとも反動的なサウジアラビアとアメリカが緊密な同盟を結んでいるのです。

 キンザーはサウジに対しては距離を置くことを勧めています。またイランに対しては核問題を含めた包括的な交渉を呼びかけています。

 しかし私はこの可能性には否定的です。

 アメリカが一度も民主主義を試したことがない反動的な国に好意を持ち、民主主義の可能性がある国といがみあっていたのはサウジとイランの場合だけではありません。

戦前の中国と日本に対するアメリカの関係がそうでした。アメリカは蒋介石を中国のジョージ・ワシントンと呼んで応援し、大正デモクラシーの日本を袖にし始めました。

この日米の中国に関する対立は話し合いで解決することができずに結局戦争にまで発展してしまいました。

アメリカが日本の価値に気づいたのは日本の敗北後だったのです。

アメリカがイランの戦略性に気づき、サウジの反動性を認識するのも、中東でこれから行われる大戦争の後のような気がします。