今回の「原発危機」の間、ネットで情報を得るためいろいろな新聞社のサイトを見続けました。

 その時に気がついたことがあります。「保守」を標榜する『産経』や『読売』のネットにおける記事が、不安や恐怖を煽っていたことです。

 一方「左翼」を代表するといわれていた『NHK』や『朝日』という媒体は、少ない情報ながらもきっちりと「事実」を報道していました。

 『朝鮮日報』も次のように書いています。

 日本の災害で、より興奮したのは韓国のマスコミだった。公営、民営にかかわらず「痛哭(つうこく)」「壊滅」「阿鼻(あび)叫喚」「修羅場」「焦土化」「幽霊都市」「荒れ地」「暗黒世界」のような言葉を並べ立てた。道路は「完全に」その機能を失い、津波は「ものすごい」破壊力を見せ、都市が「丸ごと」消えたと報じた。日本の国民が大災害の中、冷静に落ち着いて対処している姿を見て、外信が「人類精神の進歩を見た」と報じたのには、日本の良質な公共放送が果たした役割も大きいだろう。

 いかに日本の「保守」が今回の事件で動揺していたか、一例を挙げてみます。

 田久保忠衛さんは『産經新聞』の常連で、櫻井よしこさんらとシンクタンクを作っている保守系の外交評論家ですが、彼がニューヨーク・タイムズに次のように語っているのです。

 「ある人は自衛隊やヘリコプターの登場は強力な手段を行使したと考えるだろう。しかしそれは違う。ただそれは絶望にかられただけなのである。もう遅すぎるのだ。」

 今から振り返ってみて、一番危険な状態は自衛隊が福島第一原発でヘリで放水を開始した時でした。田久保教授はこの場面を見て、日本の「終わり」を覚悟していたみたいなのです。

 私がこの時に自分のブログで書いた感想は「自衛隊の皆さん、頑張ってください。日本の最後の砦はあなたたちしかいないのです」というものでした。

 あれだけ、日本人の「尊厳」や「名誉」にこだわっていた保守の知識人が最も大事な時に「無力感」におそわれてしまったのです。

 冷戦後、日本がダメになってしまったのは、「左翼」が跋扈するようになったという人がいますが、違うのです。日本の「保守」が堕落してしまったからなのです。