『共同通信』から

 インタファクス通信によると、ロシア国内の原子力発電所を運営する国営企業「ロスエネルゴアトム」のアスモロフ第1副社長は19日、福島第1原発の状況について「完全に統制されている」と述べ、破滅的な事態には至らないとの認識を示した。

 アスモロフ氏は19日に日本の原発事故の状況視察を終えてロシアに帰国し、極東サハリン州で行われたプーチン首相らとの会合で状況を報告した。
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 これから何が起こるかわかりませんが、チェルノブイリを経験したロシアが一応のおすみつきをだしたことで、少し安心しました。

 これまで起こったことを少しまとめておきたいと思います。

 私がみるところ、やはり一番問題だったのはアメリカが一方的(unilateral)に80キロの避難地域を設定したことにあると考えます。

 もちろんアメリカの「国益」(the national interest)として考えるならば、当然の措置であります。どの国も自国民や軍人を放射能に汚染されたくないと思っているからです。

 ただ、日本が毎年膨大な「おもいやり予算」を支払い、共通の危機に対処する「同盟国」の態度としてははなはだ問題があると感じるのです。

 以前から孫崎享さんがおっしゃっていたように日本と中国が尖閣諸島で衝突した場合、アメリカは絶対助けにこないことが、現実的な問題として浮上してきたのです。

 「放射能」の時に撤退した在日米軍が「中国軍」の場合には日本と共同で戦ってくれるのでしょうか。今回のやり方をみるとはなはだ疑問です。

 さらにもっと深刻な問題があります。それは「核の傘」にかんするものです。

 日本がどこかの国から核攻撃を受けた時に、アメリカはロサンゼルスなどの自国の都市が核でやられるのを覚悟して日本のために報復をしてくれるのでしょうか。

 今回のアメリカの一方的な措置をみて、そんなことはありえないのだと断言できます。やはり「核の傘」などというものは幻想だったのです。

 戦後の日本での最大危機である「福島第一原発」には在日米軍はいないのです。米軍が貸してくれた消防車が一台あるだけなのです。

 このことが現在の日米安保を象徴しているものと私は思っています。