このところロシアの北方領土に対するいろいろな攻撃が続いていますが、将来どのような決着がつくのでしょうか。

 私は最近、北方領土の問題は日本とロシアとの問題ではなく、日本とアメリカの関係に起因するものと考えるようになりました。できるだけわかりやすく説明してみようと思います。

 つい最近NHKスペシャルでも触れられていたことですが、鳩山一郎と河野一郎は2島返還でソ連と手を打とうと考えました。そのことによって冷戦中に日本の外交的自主性が確保できると考えたからです。

 ところがこの日ソの交渉にアメリカのダレス国務長官が介入してきます。日本がソ連に対して4島を主張しなければ沖縄を返還しないというのです。

 この時に吉田茂は以前は2島でもいいと考えていたのに、ダレスの介入で4島の返還に乗り換え鳩山一郎の足を引っ張ったのでした。この吉田の変節により、2島返還でのソビエトとの国交回復はなくなってしまったのです。

 4島一括返還でなければならないというのはダレスの介入後に生まれた話なのです。

 さてこのような歴史的背景をみてみると不思議なことがわかってきます。

 現在4島返還を主張しているのが櫻井よしこさんや田久保忠衛氏などの「親米派」などに対し、4島にこだわっていないのは鳩山由紀夫元総理や鈴木宗男氏また元外交官の孫崎享さんら決して親米とは言えない人たちなのです。

 2島、4島を決定しているのは、主権の問題や歴史の問題ではなく、その人達の「親米」度だったのです。

 現在も日米安全保障条約は続いていますので、おそらく日本国内で2島か4島のコンセンサスを得ることは不可能でしょう。その結果ロシアとの平和条約は結べないでしょう。(ダレスの呪いと管理人は考えています)

 日本とロシアとの間で本当に物事が動き出すのは日米安保が無くなった時です。その時点で日本国内では2島でもしかたがないというコンセンサスが生まれると思います。

 現在のロシアの指導者も択捉や国後には足を踏み入れても、歯舞や色丹には行っていません。これは何らかのサインかもしれません。

 結果として2島返還での平和条約という鳩山一郎と河野一郎の時代に戻るだけだと思います。