前回、片岡鉄哉先生の『さらば吉田茂』から引用した部分をもう一度書いてみます。現在の日本の政治を考える時にとても参考になると思います。

 「米国政府が日本に対して両天秤政策をやるのは、日本の世論が護憲と改憲とに割れており、アメリカの意向に従って日本側が連動することに一半の理由がある。アメリカが改憲指向になると日本の改憲派(鳩山)が親米になり護憲派の足を引っ張る。逆に、アメリカが護憲指向になると日本の護憲派(吉田)が親米になり改憲派の足を引っ張る。これがアメリカによる日本操縦を可能にしている。」

 自民党ができた当初このように吉田派と鳩山派はお互いに足の引っ張り合いをしていたのでした。

 さて自民党が政権をとってから50年以上たち、日本で政権交代という画期的なことがおこりました。ところが鳩山政権時に「アメリカの高官が、当時、財務大臣を務めていた管氏や外務 大臣を務めていた岡田幹事長といった民主党内の有力な政治家に積極的に働きかけていくことを提案したのに対し、韓国側も同意する」というやりとりをwikileaksが暴露しています。

 この暴露が示す通りに、管財務大臣は総理になり、岡田氏も幹事長に出世することにはなりましたが、今度は鳩山由起夫や小沢一郎に足を引っ張られて、管総理も身動きがとれなくなっています。50年以上前にできた自民党と全く同じです。

 なぜ日本人がこのようにアメリカの介入を簡単に受け入れてしまう背景には「日米安全保障条約」があります。

 自民党が出来た時は「冷戦」がありましたので、アメリカの介入はいたしかたなかったかもしれませんが、現在もこのようなことが行われているということは本当に恥ずべきことです。

 このようなことを繰り返していたら、日本の苦境を救う強力な政策など永遠にできないと私は思います。