関岡英之さんが書かれた『中国を拒否できない日本』を読みました。かなりの力作です。とりあげたい論点はたくさんありますが、今回はタイについてとりあげられた部分を書いてみます。

 関岡さんは「従来タイではクーデターなど内部対立が起きると国民に敬愛されている国王が自ら介入することで流血の事態を回避してきたが、タクシン氏の登場以降は状況が一変した。」と書かれています。

 私はこれについてある仮説を持っています。それは現在のタイが日本の2.26事件のような状態になっているからだというものです。それを説明する前に関岡さんが書かれているタイ内部の対立状況をみてみます。

 「赤シャツのタクシン派は、タクシン氏の政治基盤であるタイ北東部の農民や都市のスラム街の低所得層が中心で最終的には王制打倒を目論んでいると見られる。
 一方アピシット政権を支えているのは王族、枢密院、司法府、官僚、知識人といった既成エリート層であることから、現在のタイの混乱は従来と違って階級闘争の様相を呈している。」

 もっと簡単にいえば「農村と都市の対立」になります。じつは2.26事件で立ち上がった青年将校の心情にも農村の窮状があったのです。

 そこでネットで調べてみると、1930年代の日本の農林業従事者は全体の労働者の47%であったと書いてありました。現在のタイでも40%、農業従事者が占めるそうです。日本でもタイでも工業化が成功し農業従事者が過半数を割った時に「都市と農村」の対立が顕在化しています。

 さらに日本では陸軍のなかで「統制派」と「皇道派」という派閥が生まれていましたが、タイでも「軍内タクシン派の強硬派で、西側からメディアからインタビューされている最中に狙撃されたカティヤ陸軍少将は『赤い参謀』と呼ばれ、銃撃後、付近の病院ではなくわざわざ離れた華僑病院に運ばれたという」と関岡さんは書かれています。

 やはりタイでも土着化しやすい陸軍に派閥が出来上がっていたのです。

 じつはこのような「都市と農村の対立」が顕在化しているのはタイだけではありません。イランにおいても現大統領再選させたのは農村住民でそれに反対してデモを行ったのは都市住民でありました。

 ところがアメリカはこの選挙をみて、「改革派VS守旧派」の戦いという勘違いもはなはだしい見方をしていました。

 そして最後に中国です。これもネットで調べたのですが、2000年時点で農業従事者がちょうど50%でした。つまり現在は日本の2.26事件や現在のタイの比率に近づいていることになります。

 中国共産党はこの危機を乗り切れるのでしょうか。
人気ブログランキングへお願いします