以前、クルーグマン教授のブログで今回の不況は19世紀後半の不況に似ていると書いてあるのを読みました。そのとき高坂正堯・京大教授(前原外相の先生)の本にそのことが書いてあったのを思い出して、本棚をいろいろ探していたのですが、昨日ようやく『世界史の中から考える』という本を見つけ出しました。

 実は、1873年に崩壊したドイツのバブル経済についての話だったのです。

 プロイセンが中心となってドイツ統一を達成させるのですが、まずプロイセンの宰相ビスマルクはドイツ連邦内のライバルであったオーストリアを倒します。そして1870年にいよいよフランスを倒しその翌年の1871年にドイツ統一を達成させるのです。

 ところがこのドイツ統一に伴ったバブル経済が1873年に崩壊してしまったのです。

 このドイツでのバブル崩壊の余波を高坂教授は次のように表現しています。

 「それは多分、バブル後の不況が20年以上もの長期に及んだことと関連している。実際この時期の経済史を読むと、ドイツのバブル崩壊というよりも、ヨーロッパ全体の不況の時代として描かれている方が多い」

 高坂教授のこの描写を読むと、日本が陥った「失われた20年」に思いを馳せますし、リーマンショック以後の経済を予知していると読めなくもない。

 ところでドイツはどのようにしてこの経済的苦境を克服したのでしょうか。それが実は「保護主義」だったのです。再び高坂教授の本から引用します。

 「ところが、バブルの崩壊後5年で、ドイツの通商政策は逆転し、保護主義色の強いものになってしまった。何故、そうした変化が起こったのだろうか、第一の、誰もが指摘する理由は、プロシアを中心とする農業利益との連合が成立したことで、これは”鉄とライの同盟”として広く知られている。」

 このドイツが保護主義をしていた期間に最初に産業革命を起こしたイギリスを抜くことになります。さらにビスマルクは世界で最初の国民医療保険などの先進的な事業を始めたりもしたのでした。

 前に三橋貴明さんの本でこれからアメリカは保護主義化するという予想を紹介したことがありましたが、世界で最初に現在の先進国の不況を克服するには「保護主義」にしかないと語ったのが、今世界で一番優秀と私が個人的に思っているフランスの知識人エマニュエル・トッドです。次回はトッドの議論を紹介したいと思います。
人気ブログランキングへ