鳩山由紀夫総理大臣は「抑止力の観点から海兵隊の沖縄駐留が必要だ」と突然言い出し、最後は自分の言葉と行動の板挟みにあい辞任してしまいました。

 では、本当に沖縄に海兵隊がいることによって、日本が他国から攻められないようになっているのでしょうか?今回はこの問題について少しばかり考えてみたいです。

 2010年3月17日に皆さんもご存知のように韓国海軍の哨戒艦「天安」が北朝鮮の魚雷にやられ、韓国軍人40人以上亡くなるという痛ましい事件が起こりました。

 ここで疑問が持ち上がります。アメリカと韓国は同盟しているはずですよね。昔は米国軍人が3万7千人ほど駐留していました。(現在は2万人代になっているようです)

 いったい米韓同盟の「抑止力」は北朝鮮に対して働いているのでしょうか。アメリカが韓国のために報復したという話も聞きませんし、韓国が自衛のために立ち上がったという話も聞こえてきません。最後に国連の場でも中国が話をうやむやにしてしまいました。

 結果として北朝鮮の韓国攻撃は「やったもの勝ち」状態になってしまったのです。この事件から逆に北朝鮮の戦略を推定してみます。

 1、韓国の船を魚雷攻撃しても、アメリカはたちあがらない。

 2、韓国軍が報復に立ち上がることも無い。

 3、後でばれても、中国が尻拭いしてくれる。

 この3要素が全て満たされたために、北朝鮮はあの事件に対していっさい軍事的な報復を受けていないのでした。

 そこで、日本がなぜ中国、北朝鮮、ロシアから戦後、軍事的な攻撃をこれまで受けたことが無いのでしょうか?

 日本を攻撃したら、アメリカが出てくるからだと答える人が大半だと思いますが、それではなぜ北朝鮮が米韓同盟を結んでいる韓国を攻撃できるのかという理由に答えることはできません。

 一方、北朝鮮が日本の艦艇に魚雷攻撃をくわえた場合、日本人はどう行動するでしょうか?韓国のように泣き寝入りする可能性もありますが、そうじゃない可能性もあります。それがあるから北朝鮮もむやみに日本に対して攻撃できないのでしょう。

 ということで、「天安」事件を参考に「抑止力」の問題を考えてみました。