日米外相会談で前原外相がクリントン国務長官から「尖閣諸島には日米安保が適用される」という言質を得た翌日に中国人船長が釈放になった背景がおぼろげながらわかってきました。

 米戦略国際問題研究所のラリー・ニクシュ氏が『産經ニュース』に次のように語っています。

「日本政府が中国漁船の船長を釈放したのは米国政府の圧力もあったからだという推測もあるようだが、オバマ政権にとって日本と中国が尖閣の問題で対立をエスカレートさせることは好ましくないという認識はやはりあっただろう。オバマ政権でも国務省はこの釈放に内心、ほっとしていると思う。
 その一方、国務省は尖閣諸島が日米安保条約の適用を受け、もし軍事攻撃を受けた場合は日米共同防衛の対象になるということをかつてなく明確に言明した。米側のこの点での日本支援誓約は重視してよいだろう。」

 つまり日米外相会談で合意されたことは次の2つです。

 1、日本は国内の法律を適用するなどと言っていないで、さっさと中国人船長を解放しろ。

 2、そのかわり尖閣諸島は日米安保に含まれるとアメリカが言ってあげる。

 この合意の結果、翌日に中国人船長は釈放されたのでした。この内容が確実であるという直接的な証拠はありませんが、間接的なものはあります。中国人船長が釈放されて日本国民の大半が唖然としているなか、クローリー米国務次官補は24日昼(日本時間25日未明)、「正しい決定だ。事態が解決し、満足している」と評価したのでした。

 しかし、この日米合意が中国に効果が無かったことが明らかになると、アメリカ側は逃げをうちます。

 「米国は、平和的、外交的な解決を求めてきたから、その観点で良かったということを言ったに過ぎない。釈放するように圧力をかけたことは絶対にない」(読売オンラインより)

 もうばればれなのでした。しかし、この合意が表になることはまずないでしょう。というのも前原外相は日本国内で最も大きな声で「粛々」を叫んできた人でした。その人がアメリカと正反対の「密約」を結んだと言えるでしょうか。

 またアメリカ側でも大変な問題があります。ご存知のようにクリントン女史は優秀な弁護士でした。そんな人が同盟国に「指揮権を発動せよ」と迫ったのでした。

 このような状態で結ばれた「日米密約」は中国に対して何の効果も生まずに、責任のなすりあいだけが始まったのです。

 またこの問題を分析する過程で一つわかったことがありました。それはなぜ外務大臣が岡田から前原に変わった理由です。

 岡田幹事長はよく言われているように堅物です。けれど国民に向かって平気で嘘をつける人ではありません。だから日米「核密約」を暴くようなことをしたわけです。

 しかし、このような性格はアメリカ側に不信感をよびました。そこでアメリカはルース大使を通じて日本の外務大臣は「日本国民に平気で嘘をつける人物」を要求し、前原が就任したわけです。

 「日本国民に平気で嘘をつける」前原外相は中国漁船との衝突事件で閣内でもっとも強硬でした。テレビの前で何度も「日本の国内法で粛々とすすめる」を連発したのでした。

 ところが、クリントン国務長官からそれとは正反対の「指揮権発動」を指示されると顔色一つ変えず合意に至ります。

 そして、見事に失敗するのでした。

 無能で無責任、唯一のとりえが「日本国民に平気で嘘がつける」。それが前原外務大臣という人なのでした。

追加

 今日の『朝日新聞』に次のような文章が載っていました。

「17日午後、管首相は内閣改造を断交した。民主党幹事長就任を受け入れた岡田前外相は、就任の条件として『後継は前原氏』と求め首相も受け入れた。」

 私は先の文で前原外相を指名したのはルース駐日大使からと推測しましたが、実は岡田前外相だったそうです。これが事実ならさらに悲惨です。

 岡田外相は自分がなぜ外相を辞めなければならかったのか全くわかっていなかったのでした。そして一番ふさわしくない人物を後任に指名したのです。