『産經新聞』によれば日米外相会談で「クリントン氏は、中国漁船の衝突事件で緊張する日中関係について、尖閣諸島に日米安保条約が適用されるとの見解を示す一方、対話を通じた早期打開を求めた」そうです。

 またジャパン・タイムズでも先週リチャード・アーミテージ元国務副長官が来日して、1960年の安保条約は尖閣諸島に適用されると語ったそうです。

 「日米同盟」大復活という感じです。

 私はこれまで同盟というものには「仮想敵」というものが必要で、中国が日米共通の敵となるなどとはあまり重大に考えていませんでした。鳩山首相がアジア共同体を唱え、アメリカも米中G2論を唱えていたのはつい最近です。さらにキッシンジャーの頭越し外交などの歴史的経緯もあります。

 それもこれも中国が東南アジアや日本との領土問題にやたらに強硬になり、あまつさえアメリカが最も気にする「航海の自由」を否定するようなことを述べたからでした。(第1次大戦に参戦したウィルソン大統領は14か条の約束を発表しますが、「航海の自由」はその中に入っています)

 あれだけ「平和的発展」などと唱えていた中国政府は一体どうしたのでしょうか?回りの国に対して強硬になり、包囲網を作られるのは全く理性的な行動とは思われません。

 このような問題意識を持ってネット記事を読んでいたら、なるほどと思うものを発見しました。『毎日新聞』のネットで次のように書いてありました。

 「中国の政治がおかしい。権力抗争のにおいがする。胡錦濤国家主席や温家宝首相は、保守派からの攻撃にさらされている。その結果、尖閣諸島衝突事件で日本に強硬姿勢をとっていると考えるべきだ。」

 「中国政府が日本政府と結んだ東シナ海ガス田共同開発合意を売国行為だと批判している。中国政府の最高責任者は温家宝首相。中国外交の責任者は共産党外事工作指導小組の組長である胡錦濤主席だ。中南海の反胡、反温勢力は、東シナ海の日中共同開発問題に集中砲火を浴びせているのだろう。」

 なるほど権力闘争ですか。これなら納得できます。

 ただ今回の中国政府の態度は以前よりも強硬度が強いように筆者には感じられます。次回はそれについて書いてみます。