藤永茂著『アメリカンドリームという悪夢』の書評の続きです。今回はオバマ大統領についてです。
アメリカ国民がオバマ大統領を選んだことで、これまでの人種差別の歴史に区切りをつけたのだという議論があります。藤永教授はこの説に否定的です。
藤永教授はアメリカの白人がオバマに投票したことには白人の「集団ナルシズム」が作用したと考えているようです。
「黒人をアメリカ合衆国大統領として擁立しようと熱心に努力する自分たちの姿こそ、アメリカ白人の心の正しさ、寛容さ、美しさを映すものであるとする自己陶酔、自己欺瞞が『オバマ現象』の真髄であり、中核であると私は考える」
一方オバマの方も、こうした白人の考え方にすり寄っていったと藤永教授は主張します。なぜそのようなことが言えるのかといえば、オバマの考え方や行動が、以前の黒人指導者マーチン・ルーサー・キング牧師の考え方とかけ離れているからです。
この本の中にはたくさんのキング牧師の説教が載っていますが、私が一番感動したものを引用します。
「244年ものの間、人々を奴隷のままにしておくような国家はその人をただの”モノ”にしてしまうだろう。だから、人々、概して貧しい人々を、経済的に利用搾取することになる。さらに経済的搾取を行う国家は海外投資とかあれこれすべてを保持しなければならないから、それを護衛するために軍事力を使わなければなくなる。これら全ての問題は一緒に結ばれている。本日、私は皆さんに告げたい。我々はこの集会から世に出て、こう言わなければならない、”アメリカよ、お前は生まれ変わらなければならない”と」
この演説はキング牧師が1967年に発表したものですが、現在でも全然色褪せていません。果たしてオバマ大統領はこういうことをアメリカ国民にむかって言えるのでしょうか?
藤永教授は「軍事費を増大し、アフガニスタンでの軍事行動の強化を目指すオバマ大統領は、大多数の黒人を苦しめている人種差別と貧困が戦争と直接結びついているなどと決して口にしない」と痛烈にオバマ大統領を批判しています。
結局、藤永教授によればオバマ大統領の当選はアメリカ白人の「集団ナルシズム」にオバマが権力欲しさに擦り寄っていったとしか見えないのでした。
次回は藤永教授の論点に私なりの考えを加えてみたいと思います。
アメリカ国民がオバマ大統領を選んだことで、これまでの人種差別の歴史に区切りをつけたのだという議論があります。藤永教授はこの説に否定的です。
藤永教授はアメリカの白人がオバマに投票したことには白人の「集団ナルシズム」が作用したと考えているようです。
「黒人をアメリカ合衆国大統領として擁立しようと熱心に努力する自分たちの姿こそ、アメリカ白人の心の正しさ、寛容さ、美しさを映すものであるとする自己陶酔、自己欺瞞が『オバマ現象』の真髄であり、中核であると私は考える」
一方オバマの方も、こうした白人の考え方にすり寄っていったと藤永教授は主張します。なぜそのようなことが言えるのかといえば、オバマの考え方や行動が、以前の黒人指導者マーチン・ルーサー・キング牧師の考え方とかけ離れているからです。
この本の中にはたくさんのキング牧師の説教が載っていますが、私が一番感動したものを引用します。
「244年ものの間、人々を奴隷のままにしておくような国家はその人をただの”モノ”にしてしまうだろう。だから、人々、概して貧しい人々を、経済的に利用搾取することになる。さらに経済的搾取を行う国家は海外投資とかあれこれすべてを保持しなければならないから、それを護衛するために軍事力を使わなければなくなる。これら全ての問題は一緒に結ばれている。本日、私は皆さんに告げたい。我々はこの集会から世に出て、こう言わなければならない、”アメリカよ、お前は生まれ変わらなければならない”と」
この演説はキング牧師が1967年に発表したものですが、現在でも全然色褪せていません。果たしてオバマ大統領はこういうことをアメリカ国民にむかって言えるのでしょうか?
藤永教授は「軍事費を増大し、アフガニスタンでの軍事行動の強化を目指すオバマ大統領は、大多数の黒人を苦しめている人種差別と貧困が戦争と直接結びついているなどと決して口にしない」と痛烈にオバマ大統領を批判しています。
結局、藤永教授によればオバマ大統領の当選はアメリカ白人の「集団ナルシズム」にオバマが権力欲しさに擦り寄っていったとしか見えないのでした。
次回は藤永教授の論点に私なりの考えを加えてみたいと思います。