久しぶりに日本の安全保障の問題について書いてみます。

 アメリカのイラク戦争に反対して外務省をくびになった元外交官天木直人さんの新刊『さらば日米同盟』を読みました。少し感想を書いてみます。

 天木さんは鳩山元首相が掲げた「対等な日米同盟」については否定的です。

 「米国との軍事協力を重視する限り、対等な日米関係はありえない。常に日本は米国の軍事力要求に悩まされ、最後は日本国民の利益を犠牲にするかたちで米国の要求に従わざるをえない。」

 確かに軍事的に日米対等ということはありえないわけです。そこで天木さんは軍事協力関係から離れた「自主、自立した日米関係」を目指さなければならないと主張しています。

 具体的には「東アジア集団安全保障の確立、新たな基盤的防衛力(専守防衛の防衛力)の構築、それらの支柱となる憲法9条を掲げた平和外交」が日米同盟体制のかわりとなるべきだと書かれています。

 私は彼の提案で最も納得できないのが集団安全保障と憲法9条の関係です。

 集団安全保障とは天木さんの本にも「集団安全保障体制のもとでは、いわゆる仮想敵国というものはなく。お互いにルールを決め、それを皆で守れば平和が保てる、だからそれを皆で守ろう、そして問題が起きたら皆で問題を起こした国を罰しよう、そういう制度である。」と書かれています。

 ところが、天木さんは「憲法9条があるから、国連の平和維持活動にさえも日本は参加できない、と高らかに言えばいい」とも書いておられます。

 仮に東アジアに集団安全保障体制ができたと仮定して、皆でルールを決めて誰かが違反したときに、「日本は9条があるから軍事行動には参加できない」で本当にこの集団的安全保障は機能するのでしょうか。疑問です。

 ということで『さらば日米同盟』を現状批判の書として読めば納得できるところはたくさんありますが、憲法9条を持ち出したとたん現実的ではなくなってしまうのです。

 やはり憲法9条は日米同盟と共にあるから意味をなすことが理解できたのでした。