田中宇氏の『米中逆転』に次のような文章があります。

 「冷戦型の米英中心覇権体制を維持しようとする『軍産英複合体』と、多極的な覇権体制に転換させようとする『多極主義者』との暗闘が現在まで延々と続いている」

 この文章をもっと簡単に「従来のアメリカの派遣を維持しようとするグループとアメリカは勢力均衡に戻るべきだとするグループの対立」というように書けば、これ自体は間違っている考え方ではありません。

 だが、現在のアメリカでは特に9.11事件以降、大統領を含む行政府であれ、民主、共和の議員においてもほとんどがアメリカの対外介入を支持しています。

 アメリカの過度な介入を戒めているのは、ロン・ポールといった異端な議員ぐらいなのです。

 もちろんアメリカの現在の外交のあり方を批判している知識人はそれなりにいますが、彼らの意見が現在の政策に全く反映されていないのが問題なのです。

 田中宇氏は挙国一致で運営されているアメリカの外交に「覇権主義」と「多極主義」という枠組みを強引に適用しようとして、オバマ大統領のことを「隠れ多極主義」などとわけのわからないことを書く結果となったのでした。