去年の12月に鳩山政権の行方をジョージ・ケナンの本を引用して書いたのですけれど、今読み返しても全然おかしくないので再掲載しておきます。

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ジョージ・ケナンの『アメリカ外交50年』の第三章「アメリカと東洋」に鳩山政権の未来を示唆する文章が書いてあります。

 「もし他の国がわれわれのいうことを聞かなければ、われわれは、世界の世論の面前で、かれらのぶざまな様子を暴くだけである。他方、われわれの主張を容れたにしても、それは彼ら自身の責任においてしたことであり、われわれとして、その結果生ずる問題についてかれらを助けてやる義務は無い。ーそれはかれら自身処理すべき問題なのだ。」

 オバマ大統領の鳩山首相に対するやりかたをこれほど簡潔に要約した文章は他に存在しないでしょう。

 前段の部分は、オバマ大統領がアフガンの増派を決めた時に、同盟国ではほぼ日本だけオバマ大統領が直接電話しなかったことを示します。また、コペンハーゲンのサミットで首脳会談を行うという提案も世界の面前で蹴飛ばされました。

 一方、後段の部分は、鳩山政権政権がアメリカとの基地問題での合意を受け入れて、社民党が連立からでていって参院で少数与党になってもアメリカは知ったことではない、ということを示しています。

 鳩山首相はこのジレンマをどう解決するのでしょうか?

 ケナンはこの文章を書いた60年前にアメリカで黒人の大統領がでると思ってはいなかったでしょうが、オバマ大統領がやっていることはケナンの文章にそっくりあてはまります。

 オバマ大統領を選んだ事でアメリカは変わったという人がいますが、筆者にはそう感じられないのです。


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 ケナンの指摘はあまりにも的確でした。彼はやはり天才です。

 鳩山首相はジレンマを解決できずに辞任してしまったのですから。