今日の『朝日新聞』に「北朝鮮・脱北防止へ全戸調査」という興味深い記事が載っていました。

 それによれば、北朝鮮各地で4月上旬から、治安当局が各世帯の脱北者の有無を確認するためとみられる一斉調査を始めたようです。

 「不在者の居場所を説明できない家族ら1000人以上が拘束されて厳しい尋問を受けている模様だ」と書かれています。

 全世帯を対象にした一斉調査は異例なんだそうです。

 さて、この脱北一斉調査の原因ですが、この記事は次のように書いています。

 「昨年11月のデノミネーションの失敗で深刻な経済危機に陥っている上に、3月下旬に起きた韓国軍哨戒艇『天安』の沈没事件を受けて半島情勢が緊迫。脱北行為をくい止めようと当局が住民管理を強化したとみられる」

 デノミの失敗がこの脱北一斉調査につながったことは間違いありませんが、「天安」事件が一斉調査の原因とは私は思いません。

 昨日も書きましたが、国際環境が平和な場合にはいくら独裁国家といえども簡単に国民を弾圧することは難しいのです。

 毛沢東が大躍進政策をするときに金門島を砲撃しましたし、また日本でも近衛内閣が国家総動員法を通したのは日中戦争の最中でした。

 「天安」撃沈事件とこの脱北一斉調査がほぼ同じ時期に起きていることがポイントです。北朝鮮は韓国の哨戒艇の撃沈という外圧を利用して国内の弾圧を考えた可能性が大です。

 つまり韓国の「天安」での死亡者は北朝鮮のデノミ失敗の生け贄になってしまったわけです。