今日は奥山さんの『悪の論理で世界は動く』の中から中国に関する部分を見ていきます。どうも彼は中国に対しては確固としたイメージは持っていないようです。
「そのころ中国が今の状態のまま台頭し続ければ(日本は)属国化の道をたどるが、民主革命が起こって内戦の末に複数の独立国家に分裂する危険性は中国共産党に常につきまとう。」と書いているからです。
私は後者のようになる可能性が大きいと個人的には思っています。それでも奥山さんは戦略学を勉強しているだけあって、日本人に次のような提言を行っています。
「日本はそこで工作し、さらに大きく中国が分断し、上海や香港などの地域も独立するように工作するべきである」
日露戦争時に明石元二郎大佐がやったことを中国にもやれといっているわけですが、こういう大胆な提言を日本の本では読んだことが今までほとんどなかったので、逆に新鮮に感じました。
私は奥山さんの中国に対する戦略に異存はないのですが、一つだけ気になる部分があったのでここに書いておきます。それは次のような文章です。
「上海など沿岸部の都市と同盟関係を結ぶことは有力な選択肢となる。上海は経済的に発展していて日本とも距離的に近い。そして大戦時に戦場になっていないこともあり、比較的に対日感情がいいとされる」
これはほんとうなのでしょうか。戦前の日本は満州や北支と経済的な関係が強かったのですが、上海辺りは日本の影響力よりもイギリスの方が強かったのでした。(イギリスが香港を植民地にしていたから当然ですが)
日本の陸軍はこの経済的な結びつきを利用して、満州や北支に介入しました。一方上海にいたのは海軍陸戦隊でした。盧溝橋事件が起きて、日本の陸軍参謀本部は戦争の拡大を防ごうとしましたが、外国勢の介入を狙った蒋介石は上海にいる陸戦隊に攻撃をしぼったのです。
この際、米内光政などの海軍首脳部が強行に中国への派兵を主張しました。結果的に泥沼の戦争となるきっかけとなりました。このように上海は戦前の日本の運命を握る都市だったのです。
さらに現在の共産中国でも上海閥は存在します。その親分が江沢民なのです。本当に「対日感情がいいとされる」のでしょうか。疑問です。
奥山さんは「地政学」の見地から上海との同盟関係を強めるべきだと説きますが、私は「歴史」的見地から賛成しかねます。
「そのころ中国が今の状態のまま台頭し続ければ(日本は)属国化の道をたどるが、民主革命が起こって内戦の末に複数の独立国家に分裂する危険性は中国共産党に常につきまとう。」と書いているからです。
私は後者のようになる可能性が大きいと個人的には思っています。それでも奥山さんは戦略学を勉強しているだけあって、日本人に次のような提言を行っています。
「日本はそこで工作し、さらに大きく中国が分断し、上海や香港などの地域も独立するように工作するべきである」
日露戦争時に明石元二郎大佐がやったことを中国にもやれといっているわけですが、こういう大胆な提言を日本の本では読んだことが今までほとんどなかったので、逆に新鮮に感じました。
私は奥山さんの中国に対する戦略に異存はないのですが、一つだけ気になる部分があったのでここに書いておきます。それは次のような文章です。
「上海など沿岸部の都市と同盟関係を結ぶことは有力な選択肢となる。上海は経済的に発展していて日本とも距離的に近い。そして大戦時に戦場になっていないこともあり、比較的に対日感情がいいとされる」
これはほんとうなのでしょうか。戦前の日本は満州や北支と経済的な関係が強かったのですが、上海辺りは日本の影響力よりもイギリスの方が強かったのでした。(イギリスが香港を植民地にしていたから当然ですが)
日本の陸軍はこの経済的な結びつきを利用して、満州や北支に介入しました。一方上海にいたのは海軍陸戦隊でした。盧溝橋事件が起きて、日本の陸軍参謀本部は戦争の拡大を防ごうとしましたが、外国勢の介入を狙った蒋介石は上海にいる陸戦隊に攻撃をしぼったのです。
この際、米内光政などの海軍首脳部が強行に中国への派兵を主張しました。結果的に泥沼の戦争となるきっかけとなりました。このように上海は戦前の日本の運命を握る都市だったのです。
さらに現在の共産中国でも上海閥は存在します。その親分が江沢民なのです。本当に「対日感情がいいとされる」のでしょうか。疑問です。
奥山さんは「地政学」の見地から上海との同盟関係を強めるべきだと説きますが、私は「歴史」的見地から賛成しかねます。