今回はテロリズムと近代国家の関係について書いてみます。

 満州国が出来るまではよく匪賊や馬賊によって日本人に対してテロがしばしば起こっていたようです。ところが満州国ができたことによって、テロは急激に減っていきました。

 フレデリック・ウィリアムズというアメリカ人が書いた『中国戦争宣伝の内幕』という本は以前紹介しましたが、彼は満州国について次のように書いています。

 「しかし諸君が満州に行けばー満州国ー日本はサンタクロースの役をこれまで演じていること、満州人が断然幸福であることを発見するだろう」

 では、満州はどのようにしてウィリアムズがみたように発展したのでしょうか。彼は「平和と安全、政府とビジネスの安定、鉄道の建設、都市の建設、病院や学校をもたらしたのは日本だった」と書いています。

 学校を作り、インフラや病院を作って近代国家を作ろうという考えは明治維新により生まれました。日本はこの明治維新メソッドを台湾や朝鮮そして満州に輸出したのです。はっきりいってこの手法は有効でした。打率でいえば3打数3安打でした。

 しかし戦後は「野蛮な植民地主義」と全否定されてしまいました。

 さて今月号の『正論』にペルーのフジモリ大統領のことをサンパウロ新聞の吉永記者が書いています。フジモリ大統領が就任した当時ペルーではセンデロルミノソやMRTAといったテロリストが役25000人もの住民を虐殺しあわや政府を転覆する寸前までいったそうです。

 フジモリ氏は「テロリストに打ち勝つためには、暴力を暴力で抑えつけてはならない。政府が恵まれない地域に惜しみない支援をし、また貧しい子供達には教育を受けさせることがテロの撲滅に繋がる」との信念を抱いていたそうです。

 そこで彼は貧困地域に約4000校の学校をつくり、医療施設を充実させ貧しい民家にも明かりがともるようになっていったそうです

 その結果次第にテロリストは勢力を失い、幹部の95%が逮捕されたと吉永記者は書いています。

 以前に読んだことがあるのですが、フジモリ大統領は明治維新にいじょうなほど興味を持っていたそうです。

 私はフジモリ大統領のペルーに対する功績はかなり大きいと思っていますが、Newsweekなどでフジモリ大統領を褒めたような記事は全く読んだことがありません。だいたい a brutal dictator のような表現で書いてあります。

 これまでテロリズムと近代国家の関係を書いてきたのにはわけがあります。アメリカのアフガニスタンに対する戦略は成功するのでしょうか。

 テロを殲滅させたフジモリ大統領は「テロリストに打ち勝つためには、暴力を暴力で抑えつけてはならない」と語ったのはアメリカに対する痛烈な批判です。

 テロリストを無くすには、学校を建て、病院をつくり、インフラを整備することが何よりも必要なのです。
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