以前『ワシントン・ポスト』に書いてあった日米関係の記事について批判を書いたところ、次のようなコメントをいただきました。
「それでも、アメリカの同盟関係は、今一度、重視尊重しながら、それを活用するべきでしょう。中国へのけん制にもなりますので、アセアン各国もそれを期待していると思うのです。」
私も、いくら現在の日米関係に不満があるからといって、それを破壊してしまっていいというつもりは全くありません。ただこれから5年、10年という期間で考えた場合、本当に現在の日米同盟は続行可能なのだろうかという疑問をもっています。
そこでこれから数回にかけて、「日本は本当にアメリカについていって大丈夫なのか」というテーマで書いてみたいと思います。今日の『朝日新聞』でも世界銀行総裁のロバート・ゼーリックが「中国もインドも米国をいかに使うかを工夫している。しかし、日本は米国からいかに離れるかを考えているように見える。なぜなのか」と言っている、と船橋洋一氏が書いていました。
『産經新聞』の湯浅博が昨年の『正論』12月号に鳩山首相のアジア共同体を批判しているエッセイを書いています。このエッセイの中で湯浅氏は鳩山首相のアジア共同体はマレーシアのマハティール首相が1990年に提唱した東アジア経済会議(EAEC)の二番煎じだと批判した上で次のように指摘します。
「米国嫌いのマハティール首相は、このアンクル・サムを『新しい植民地主義者』と罵倒し、最初から『米国』抜きを前提にしていた。もちろん初代ブッシュ大統領はまともに不快感を示して、日本や韓国に注意を喚起した。あのときに、ベーカー国務長官が険しい表情で構想を批判していたことを覚えている」
湯浅氏のこの文章は決して間違ってはいないのですが、「親米保守」を代表する『産經新聞』の記者だけあって重要なことを書いていません。
それはベーカー国務長官のことで、確かに彼はマハティールのEAEC構想を厳しく批判しましたが、一方で「ヴァンクーバーからウラジオストークまでが一つになった」という奇妙な演説をしているのです。
これを聞いて当時の筆者が思ったのはそれってユーラシアを横断した「白人の共同体」じゃないかというものでした。当然この中に日本は入ることが出来ないのです。
あれだけ有色人種の東アジア経済共同体を批判したベーカー国務長官が一方ではユーラシアをまたぐ「白人共同体」を夢想する理由が、当時の筆者にもわからなかったと同様に現在もわかりません。
ただ日本にとってさいわいなことに、この超巨大白人共同体はベーカー氏の夢想に終わったことでした。

お手数ですが、よろしくお願いします。
「それでも、アメリカの同盟関係は、今一度、重視尊重しながら、それを活用するべきでしょう。中国へのけん制にもなりますので、アセアン各国もそれを期待していると思うのです。」
私も、いくら現在の日米関係に不満があるからといって、それを破壊してしまっていいというつもりは全くありません。ただこれから5年、10年という期間で考えた場合、本当に現在の日米同盟は続行可能なのだろうかという疑問をもっています。
そこでこれから数回にかけて、「日本は本当にアメリカについていって大丈夫なのか」というテーマで書いてみたいと思います。今日の『朝日新聞』でも世界銀行総裁のロバート・ゼーリックが「中国もインドも米国をいかに使うかを工夫している。しかし、日本は米国からいかに離れるかを考えているように見える。なぜなのか」と言っている、と船橋洋一氏が書いていました。
『産經新聞』の湯浅博が昨年の『正論』12月号に鳩山首相のアジア共同体を批判しているエッセイを書いています。このエッセイの中で湯浅氏は鳩山首相のアジア共同体はマレーシアのマハティール首相が1990年に提唱した東アジア経済会議(EAEC)の二番煎じだと批判した上で次のように指摘します。
「米国嫌いのマハティール首相は、このアンクル・サムを『新しい植民地主義者』と罵倒し、最初から『米国』抜きを前提にしていた。もちろん初代ブッシュ大統領はまともに不快感を示して、日本や韓国に注意を喚起した。あのときに、ベーカー国務長官が険しい表情で構想を批判していたことを覚えている」
湯浅氏のこの文章は決して間違ってはいないのですが、「親米保守」を代表する『産經新聞』の記者だけあって重要なことを書いていません。
それはベーカー国務長官のことで、確かに彼はマハティールのEAEC構想を厳しく批判しましたが、一方で「ヴァンクーバーからウラジオストークまでが一つになった」という奇妙な演説をしているのです。
これを聞いて当時の筆者が思ったのはそれってユーラシアを横断した「白人の共同体」じゃないかというものでした。当然この中に日本は入ることが出来ないのです。
あれだけ有色人種の東アジア経済共同体を批判したベーカー国務長官が一方ではユーラシアをまたぐ「白人共同体」を夢想する理由が、当時の筆者にもわからなかったと同様に現在もわかりません。
ただ日本にとってさいわいなことに、この超巨大白人共同体はベーカー氏の夢想に終わったことでした。

お手数ですが、よろしくお願いします。