今日は休日なので2本立てでいきたいと思います。

 ジェームズ・ウッドというアメリカ人の歴史家が書いた『太平洋戦争は無謀な戦争だったか』を読みました。この著者によれば日本がもう少し工夫して戦っていればアメリカに負ける事は無かっただろうと書いています。

 日本が失敗した一番の原因は最初余りにも簡単に作戦が成功した事だとウッドは言っています。

 「いとも簡単に作戦が成功した事で、日本は将来の連合軍の攻撃に備え、効果的な国防圏を構築する包括的な戦略計画をじっくり練り上げる事をしなかった。」

 ウッドは海軍のミッドウェー攻略やガダルカナルなどの大日本帝国の安全に全く関係のないところでエネルギーを集中した事は間違っていると言っています。それよりも、

「最初から、重層的な防衛拠点がフィリピン、サイパン、グアム、テニアンに構築されるべきだった。幾百もの飛行場が整備されるべきだった。同様の密度と戦力を持つ防衛拠点を台湾、琉球諸島、小笠原諸島に構築し、それによって帝国の生命線である補給路を守り、日本本土への攻撃を阻止する事ができる」

 日本でも当時これらの地域は「絶対国防圏」として認識されていました。そしてウッドはこの中で最も重要なものにサイパンを挙げています。

 「もっと効果的にサイパンが防衛されていたら、その後の米軍のサイパン侵攻は失敗していたかもしれないと考えずにはいられない」

 石原莞爾将軍なども以前からサイパンの重要性を説き続けていました。サイパンが陥落したことがきっかけで岸信介は東条内閣を倒閣することを決心し、蒋介石も日本との徹底抗戦を決意したのです。

 ウッドが日本が取り得た戦略として書いているのは商船の護送船団方式で守る事や、海軍を決戦のために温存する事などです。これらは筆者も納得しましたが、一つだけとんでもない事を書いています。

 それは神風特攻隊に関する事で、このやり方は効果的だったから最初からやっていれば良かったのに、と書いているのです。この本を訳した茂木弘道氏は人種主義的だ、と批判しています。

 部分的には変な事が書いてありますが、太平洋戦争に関する戦略本としては第一級品に値すると筆者は思っております。

 ウッドのいうとおり、おそらく日本はもっと効率的な戦いができたでしょう。しかしながら、戦前の日本には統合参謀本部が存在しなかったことや、首相の権限があまりにも弱いという「政治」的な面から日本には勝ち目が無かったろうと私は思っています。
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「太平洋戦争」は無謀な戦争だったのか/ジェームズ・B. ウッド

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