キッシンジャーの北朝鮮論

　つい先日キッシンジャーが北朝鮮についてワシントン・ポスト書いていました。流し読みした程度なのでどこまできっちりと理解しているかわかりませんが、気になるところが2,3カ所ありましたのでそれを報告したいと思います。

　　キッシンジャーは「北朝鮮が核兵器を保有しようとしているのはアメリカを狙う為ではなく、韓国と日本を脅す為である。」と書いています。

　もし北朝鮮の核保有がアメリカに認められ、その北朝鮮が日本に対して国交を結ばなければ核を落とすぞと脅したら日本はどうするのでしょう。

　アメリカが核の傘を保証してくれるのであればまだましですが、アメリカから北の要求に応じろと命令される可能性もあります。そうなれば核の無い日本は拉致問題を棚上げにして北朝鮮との国交回復に応じなければならないでしょう。それも多額の援助金をつけてです。

　核の無い国が核のある国に脅されたらお手上げなのです。

　またキッシンジャーは「北朝鮮の目的はアメリカと中国を競わす事だ」とも書いています。

　金日成は米ソ冷戦の最中、中国とソ連を競わす事で多額の援助金をせしめてきました。金正日はそれと同じ事をアメリカと中国を使ってやろうとしているわけです。

　この目的の為に金正日は核兵器を放棄することはないでしょう。

　キッシンジャーはアメリカが北朝鮮の核保有を認めるべきではないという立場ですが、時間的にはアメリカは不利な立場にいます。

　国連が北朝鮮に対する経済制裁を発動しましたが、中国がそれを台無しにしているため北朝鮮はあまり苦痛を感じていないようです。

　つい最近、北朝鮮の武器密輸が東南アジアで発見されました。この事件の詳しい内容はまだ明らかになっていませんが、もし北の密輸が核関連だったらアメリカもあわてるでしょう。結果として北朝鮮からアメリカに対して「核関連の輸出をするかもしれない」という強烈なメッセージになっているのです。その前に国交を結びましょう、というわけです。

　オバマ大統領と金正日の我慢比べは続きます。

　結局、中国が北朝鮮問題で何らのリーダーシップもとらないからこのような結果になってしまうのです。6カ国協議が再開されても同じ事が繰り返されるだけだと私は思っています。

　お手数ですが、よろしくお願いします。