今日は満州の問題について書こうと思います。

 張学良が蒋介石を監禁した「西安事件」というものが起こりました。ウィリアムズはそれについて「ソビエトはひそかに中国共産党の手先を使って、蒋介石を監禁し、日本に宣戦布告をするようにそそのかした」と書いています。

 そして何故イデオロギーの全く違う中国国民党とソビエトが結びついたのかを彼は「満州国」に見いだします。

 「新しくできた満州国は蒋介石やその配下の軍閥にとって目の上のたんこぶ、のどに突き刺さったとげのようなものであった。それは中国共産党にもロシアのボルシェビキにとってもそうであった。というのも貧相きわまる満州から幸福と繁栄の帝国に満州国は変貌を遂げていたからだ。」

 繁栄した満州があの地域に存在するとソビエトや中国にとっては自国の「無能」を証明するから手を握ったのだとウィリアムズは考えていたようです。彼のこの分析は非常に鋭く、現代にも応用が利きます。

 それはロシアや中国が金正日政権を支える理由です。北朝鮮がつぶれて統一した韓国になれば現在の北もかなり豊かになるでしょう。しかしそうなった場合、直接国境を接している中国やロシアの住民はそれをうらやましがるはずです。そうなったとき何らかの政情不安が起こる可能性もあります。

 そこで中国やロシアはこの地域には「飢えた住民」がふさわしいとばかりに金正日政権を支えるのです。こういうやり方をキッシンジャーの『外交』にはレーゾン・デタ(国家理性)と書いてありますが、北朝鮮の住民にとってはあまりにも残酷です。

 続く
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