以前、ウォルター・ミードのアメリカ外交4分類で将来のアメリカ外交を予想してみたのですが、最後の方を随分はしょって書いたためにわかりにくかったかと思います。

 そこで今回はもっと簡単に書いてみたいと思います。前回紹介した村田教授の『アメリカ外交』にヘンリー・ナウという人の外交論が書いてあります。ナウによると、

 「『新世界』たるアメリカには妥協や権謀術数、他者への依存を繰り返してきた『旧世界』(アメリカの建国当初はヨーロッパを意味したが、ここではアメリカ以外を指す)とは異なるという自己イメージがある。」

 この自己認識から得られるアメリカ外交の一つのグループは、

 「『旧世界』への関与を避けようとするナショナリスト」と書いてあります。

 これはナショナリストというよりも孤立主義者ととらえた方がわかりやすいと思われます。そしてもう一方は、

 「『旧世界』をアメリカ化しようとするインターナショナリスト」とあります。

 イラクを民主化しようと考えたり、アフガニスタンに近代国家を作ろうとしていることは、アメリカでナウのいうインターナショナリストの政治的影響力が優位である事を意味しています。

 しかし、この政策は失敗しつつあります。

 米ソ冷戦中のアメリカの安全保障関連の本を読んでいると、米軍は必ず2つの地域紛争に勝てるようにしなくてはならないと書いてありました。筆者は何故いつも2つにこだわるのかはっきりと理解は出来ませんでした。結局、冷戦中はそのような局面は迎えませんでした。

 ところが、冷戦が終わって20年近くになって、アメリカはイラクとアフガニスタンという2つの地域にコミットしてしまいました。そして勝利するどころか、泥沼にはまりつつあります。(bogged down )

 そこでナウのいうインターナショナリストは早晩アメリカ国内で批判され影響力を落としていくものと思われます。一方、ナウのいうナショナリストの政治的影響力が強くなっていくでしょう。

 そのようになれば、

 「この中間に位置するのがリアリストで、国益のためなら『旧世界』への関与を厭わないが、それを改造しようとは思わない」とする点でアメリカの政治がまとまる公算があります。

 そこからアメリカの外交は勢力均衡的なものになるのではないかと私は思っています。
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