ロバート・ゲーツ国防長官が来日したとき『朝日新聞』によれば、次のように語ったという。
「米国が提供する防衛の傘は日本をほぼ50年間守ってきた。おかげで日本の防衛予算はGDPの1%以内にする事が出来た。」
彼の発言は基本的に正しいと私は思っています。
そこで、在日米軍基地を減らすためにも、日本はもう少し自分の国を守る努力をした方がいいのではないかと私などは考えてしまうのです。このような意見に賛成してくれる保守派の人々はかなりいると思っています。
ところが、話はそう簡単には終わらないようです。
元外交官の孫崎享氏の『情報と外交』によると、1998年北朝鮮がテポドンを発射した時に、日本で偵察衛星を持とうという機運が盛り上がりました。その時に、日米安保関係の中核的役割を果たしたリチャード・アーミテージやカート・キャンベル(オバマ政権の国務次官補)らは日本が独自の偵察衛星を持つ事に反対したそうです。
アーミテージは「導入決定は完全に正しい判断であるとは思わない。日本経済が厳しい状況である時に、すでに米国が提供しているものを手に入れるため、多額の予算を注ぎ込もうとしているからだ。」と『朝日新聞』に語っているそうです。
日本が核兵器を持つ事に、アメリカ人が反対することはある程度納得はするのですが、偵察衛星を持つ事にまで彼らは反対するのです。こういう人たちが「日本の友人」と呼ばれているのです。
結局、この時は駐日大使が下院議長を務めた事のある議会の実力者フォーリー氏だったので、彼を説得して日本が偵察衛星を持つ事をアメリカから許可されたそうです。現在のファンド・レイザーとしての貢献を買われただけのルース氏のような人が駐日大使だったら、そうは簡単にいかなかったでしょう。
さらに話が複雑になるのは、日本が偵察衛星を持つ事に反対したアーミテージは日本で有名になった「アーミテージ・レポート」の中で、日本が集団的自衛権の解釈をあらためることを主張しています。
一体彼は何を考えているのでしょうか。
この稿続く。

お手数ですが、よろしくお願いします。
情報と外交/孫崎 享

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「米国が提供する防衛の傘は日本をほぼ50年間守ってきた。おかげで日本の防衛予算はGDPの1%以内にする事が出来た。」
彼の発言は基本的に正しいと私は思っています。
そこで、在日米軍基地を減らすためにも、日本はもう少し自分の国を守る努力をした方がいいのではないかと私などは考えてしまうのです。このような意見に賛成してくれる保守派の人々はかなりいると思っています。
ところが、話はそう簡単には終わらないようです。
元外交官の孫崎享氏の『情報と外交』によると、1998年北朝鮮がテポドンを発射した時に、日本で偵察衛星を持とうという機運が盛り上がりました。その時に、日米安保関係の中核的役割を果たしたリチャード・アーミテージやカート・キャンベル(オバマ政権の国務次官補)らは日本が独自の偵察衛星を持つ事に反対したそうです。
アーミテージは「導入決定は完全に正しい判断であるとは思わない。日本経済が厳しい状況である時に、すでに米国が提供しているものを手に入れるため、多額の予算を注ぎ込もうとしているからだ。」と『朝日新聞』に語っているそうです。
日本が核兵器を持つ事に、アメリカ人が反対することはある程度納得はするのですが、偵察衛星を持つ事にまで彼らは反対するのです。こういう人たちが「日本の友人」と呼ばれているのです。
結局、この時は駐日大使が下院議長を務めた事のある議会の実力者フォーリー氏だったので、彼を説得して日本が偵察衛星を持つ事をアメリカから許可されたそうです。現在のファンド・レイザーとしての貢献を買われただけのルース氏のような人が駐日大使だったら、そうは簡単にいかなかったでしょう。
さらに話が複雑になるのは、日本が偵察衛星を持つ事に反対したアーミテージは日本で有名になった「アーミテージ・レポート」の中で、日本が集団的自衛権の解釈をあらためることを主張しています。
一体彼は何を考えているのでしょうか。
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