これまで書いてきた事をまとめてみます。村田教授の『アメリカ外交』にミードの考えを簡単にしたものがあるので、それを私の解釈と比較しながら記します。村田教授の考え方では、
ハミルトニアン 海洋国家 大概関与に積極的 国力の限界に楽観的
ジェファソニアン 大陸国家 選択的な対外関与 国力の限界に自覚的
ウィルソニアン 普遍的な理念を外交目標として追求
ジャクソニアン 国権の発動や国威の高揚を重視 軍事力に傾斜
筆者の解釈では次のような感じです。
エリート
ハミルトニアン 経済的な利益を第1の国益とする。 対外関与に積極的
ウィルソニアン 民主化などの理念を目標にかかげる。 対外関与に積極的
ジェファソニアン 勢力均衡を実現しようとする。 過度の対外関与には否定的
一般民衆
ジャクソニアン 軍事力ではすぐに「無条件降伏」を目指そうとするが基本的には「孤立主義」
私がジャクソニアンを一般民衆としていれたのは、ミードが「白人プロテスタントの中、下層階級」と書いているからです。これらの層が基本的に孤立主義に立脚することを判断するのにミードの分類を頼らなくとも直感で認識できます。アメリカの大多数の人がパスポートを持っていない、ということを私はどこかで読んだ記憶があります。
さらにアメリカではプロ野球のナンバー・ワンを決める試合をワールド・シリーズといいます。松井選手がMVPを今年とりましたし、今は世界各国から選手が来ているのでワールド・シリーズといってもあまり奇異には感じませんが、アメリカ人は白人だけでやっている時からワールド・シリーズと言っていた訳です。これほどアメリカの庶民の世界観を表している言葉はないでしょう。
さて村田教授のような解釈をとりますと、アメリカで対外介入を控えようとするのは、ジェファソニアンだけとなります。彼らの政治的影響力は私が今まで書いてきた様にそんなにありませんから、結局はこれからもアメリカは過剰な介入を行う事を示唆しています。そこで日本の外交目標は彼が『アメリカ外交』に述べたとおり、これからのアメリカの介入に日本がどうつきあっていくか、という問題になります。
一方私の解釈では、果たしてアメリカの一般民衆はアメリカの過剰な介入にこれからも支持を与え続けるのだろうか。アメリカの民衆が一転して「孤立主義」に戻らないかを危惧するのです。もしそうなった時、アメリカの協力ばかり考えている日本は見事に梯子を外される形となります。そのような場合に備えて、日本は自国の防衛を最低限でもやっておく必要があるのではないか、と思うのです。
どちらの解釈が正しいかは現時点では全くわかりません。そこで次回からは冷戦後のアメリカ外交をエリートと一般庶民にわけて説明し、これからのアメリカ外交がどうなっていくかを考えてみたいと思います。
お手数ですが、よろしくお願いします。
