ここまでの議論を整理しておきます、村田晃嗣氏の『アメリカ外交』や春原剛氏の『ジャパン・ハンド』においてアメリカ外交評議会のウォルター・ミード上級研究員が書いた Special Providence が引用されています。ミードの本ではアメリカ外交を4つのパターンに分けています。1、経済的利益を第一に考えるハミルトニアン、2、民主主義の拡大を訴えるウィルソニアン、3、力の限界を説くジェファソニアン、4、これから書く予定のジャクソニアンです。

 ここ最近は、私の尊敬するジェファソニアンの外交スタイルや歴史観を書き連ねてきたわけです。今回はアメリカの「孤立主義」について考えてみます。アメリカの「孤立主義」は私が最近書いているジェファソニアンの延長にあるという説があります。春原剛氏は次のように書いています。

 「このグループには根底でアメリカ・ファーストを標榜する孤立主義に通ずる面もある。一方でミードは『米国史上まれに見る戦略家も実はこのグループに属する』と評し、その代表選手として『ソ連封じ込め戦略』を提唱した名戦略家ジョージ・ケナンの名前をあげる」

 このように春原氏もジェファソニアンの延長に「孤立主義」があるととらえている訳です。一方村田教授もこう書いています。

 「ここではアメリカの国力の限界が意識されており、これに楽観的だと対外関与度の高いハミルトニアンに、悲観的だと国内志向のジェファソニアンになる。後者が極端になれば、いわゆる孤立主義に陥る」

 ここで私は春原氏や村田氏を批判しているわけではありません。確かにミードの本を読む限り彼らの書いている事は正確なのです。しかし私はジョージ・ケナンやケナンが「予言者」と呼んだアントワープ・マクマリーの延長にアメリカの「孤立主義」があるとは全然納得がいきませんでした。そこでいろいろ考えた結果次のような結論に至りました。

 1 Special Providence を書いた本人であるミードがジェファソニアンを「孤立主義」だと誤解している。

 2 または、ミードはジェファソニアンが「孤立主義」の原因ではない事を知っているが、読者をミスリードさせている。

 なぜ私がこのような結論に至ったかは次のジャクソニアンのところで書こうと思っています。ここではジェファソニアンとアメリカの「孤立主義」とは無関係である、とだけ主張しておきます。春原氏や村田氏はミードにみごとに騙されたようです。

 次回からいよいよアメリカの一般大衆の意思を体現したジャクソニアンについて書こうと思います。現代アメリカを知るためにはジャクソニアンに対する理解が欠かせないと筆者は考えています。
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