附子 2015-0528
テーマ:生薬之
1.
附子 ぶし
a. 生薬
別名/ 加工附子, 塩附子, 炮附子, 黒附片, 白河附子
ラテン名/ Aconiti Radix (Processi Aconiti Radix)
英名/ Aconite Root (Processed Aconite Root)
科名/ キンポウゲ科 Ranunculaceae
基原/
ハナトリカブト Aconitum carmichaeli Debeaux
又は オクトリカブト Aconitum japonicum Thunberg
b. 薬用部位
塊根 (塊根を加工法により製したもの)
c. 含有方剤
阿膠附子湯 烏頭赤石脂丸 温脾湯 解急蜀椒湯 葛根加苓朮附湯 乾姜附子湯
甘草附子湯 近郊方朮附湯 桂姜棗草黄辛附湯 桂枝加朮附湯 桂枝加苓朮附湯
桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯 桂枝芍薬知母湯 桂枝二越婢一湯加苓朮附 桂枝附子湯 香朴湯
牛車腎気丸 三生飲 四逆湯 四逆加人参湯 芍甘黄辛附湯 芍薬甘草附子湯
芍薬甘草附子大黄湯 正観湯 小続命湯 舒筋立安散 真武湯 正観湯 壮原湯
大黄附子湯 大三五七散 大桃花湯 大防風湯 断痢湯 竹葉湯
丁香茯苓湯 丁附理中湯 通脉四逆湯 八味丸合人参湯 八味地黄丸 反鼻交感丹
白朮附子湯 茯苓四逆湯 補腎湯 奔豚湯[広済] 麻黄加苓朮附湯 麻黄附子甘草湯
麻黄附子細辛湯 薏苡附子敗醤散 利膈湯 六物附子湯
d. 薬理作用
鎮静,ストレス潰瘍抑制作用(エキス).鎮静,血圧降下,不整脈誘発作用(aconitine),強心作用(hygenamine, coryneine).鎮痛,抗炎症作用(mesaconitine).
e.
帰経 心・脾・腎
性 大熱,有毒
味 大辛
神農本草経 下品
中医分類 温裏祛寒薬
f.
備考 第十六改正日本薬局方収載品.
参考文献 NI: 一色直太郎, 『和漢薬の良否鑑別法及調製法』, 吐鳳堂書店, 東京, 1987
from: 伝統医薬データベース 富山大学和漢医薬学総合研究所
2015-0528
2.
a.
分類
界/ 植物界 Plantae
門/ 被子植物門 Magnoliophyta
綱/ 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱/ モクレン亜綱 Magnoliidae
目/ キンポウゲ目 Ranunculales
科/ キンポウゲ科 Ranunculaceae
属/ トリカブト属 Aconitum L., 1753
英名/ monkshood
b.
名称・類縁
トリカブト
(鳥兜・学名Aconitum)は、キンポウゲ科トリカブト属の総称
c. 要旨
トリカブトの仲間は日本には約30種自生している。
花の色は紫色の他、白、黄色、ピンク色など。
多くは多年草である。
沢筋などの比較的湿気の多い場所を好む。
トリカブトの名の由来は、花が古来の衣装である鳥兜・烏帽子に似ているからとも、鶏の鶏冠(とさか)に似ているからとも言われる。英名の"monkshood"は「僧侶のフード(かぶりもの)」の意。
塊根を乾燥させたものは漢方薬や毒として用いられ、烏頭(うず)または附子(生薬名は「ぶし」、毒に使うときは「ぶす」)と呼ばれる。
本来「附子」は、球根の周り着いている「子ども」の部分。
中央部の「親」の部分は「烏頭(うず)」、
子球のないものを「天雄(てんゆう)」
と呼んでいたが、現在は附子以外のことばはほとんど用いられていない。
ドクウツギ、ドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされる。
ヨーロッパでは、魔術の女神ヘカテーを司る花とされ、庭に埋めてはならないとされる。
ギリシア神話では、地獄の番犬といわれるケルベロスのよだれから生まれたともされている。
狼男伝説とも関連づけられている。
d. 同定、他
地方により、変異が多い特徴がある
ニリンソウと似た場所に自生するヤマトリカブトの若葉とニリンソウの若葉は間違える例がある
致死毒性強くは特に注意が必要だ
a)
主な種/
ハナトリカブト (A. chinense Sieb. ex Sieb. et Zucc.)
カワチブシ (A. grossedentatum (Nakai) Nakai)
ハクサントリカブト (A. hakusanense Nakai)
センウズモドキ (A. jaluense Kom.)
ヤマトリカブト (A. japonicum Thunb.)
ツクバトリカブト (A. japonicum Thunb. subsp. maritimum (Nakai ex Tamura et Namba) Kadota)
キタダケトリカブト (A. kitadakense Nakai)
レイジンソウ (A. loczyanum R. Raymund.)
ヨウシュトリカブト (A. napellus L.) 模式種
タンナトリカブト (A. napiforme Lev. et Van.)
エゾトリカブト (A. sachalinense Fr. Schm.) - アイヌが矢毒に用いた[8]。
ホソバトリカブト (A. senanense Nakai)
オオレイジンソウ (A. umbrosum (Korsh.) Kom.)
ダイセツトリカブト (A. yamazakii Tamura et Namba)
化学成分からみて妥当な分類としてトリカブト属が30種、変種が22種、計52種という多くの種類が存在。
b)
毒性/
トリカブトの毒の一つ アコニチン
比較的有名な有毒植物。
主な毒成分はジテルペン系アルカロイドのアコニチンで、他にメサコニチン、アコニン、ヒバコニチン、低毒性成分のアチシンの他ソンゴリンなどを全草(特に根)に含む。
採集時期および地域によって毒の強さが異なる。
食用することは非常に危険である。
食べると嘔吐・呼吸困難、臓器不全などから死に至ることもある。
経皮吸収・経粘膜吸収され、経口から摂取後数十秒で死亡する即効性がある。
半数致死量は0.2~1グラム。トリカブトによる死因は、心室細動ないし心停止である。
下痢は普通見られない。 特異的療法も解毒剤もないが、各地の医療機関で中毒の治療研究が行われている。
芽吹きの頃にはセリ、ニリンソウ、ゲンノショウコ、ヨモギ等と似ているため、誤食による中毒事故(死亡例もある)が起こる。
株によって、葉の切れ込み具合が異なる。
蜜、花粉にも中毒例がある。
このため、養蜂家はトリカブトが自生している所では蜂蜜を採集しないか開花期を避ける。
c)
漢方薬/
附子(生薬)
漢方ではトリカブト属の塊根を附子(ぶし)と称して薬用にする。
本来は、塊根の子根(しこん)を附子と言い、「親」の部分は烏頭(うず)、また、子根の付かない単体の塊根を天雄(てんゆう)と言って、それぞれ運用法が違う。
強心作用、鎮痛作用がある。
また、牛車腎気丸及び桂枝加朮附湯では皮膚温上昇作用、末梢血管拡張作用により血液循環の改善に有効である。 しかし、毒性が強いため、附子をそのまま生薬として用いることはほとんどなく、修治と呼ばれる弱毒処理が行われる。
炮附子は苦汁につけ込んだ後、加熱処理したもの。加工附子や修治附子は、オートクレーブ法を使って加圧加熱処理をしたもの。
修治には、オートクレーブの温度、時間が大切である。温度や時間を調節することで、メサコニチンなどの残存量を調節する。
この処理は、アコニチンや、メサコニチンのC-8位のアセチル基を加水分解する目的で行われる。
これにより、アコニチンはベンゾイルアコニンに、メサコニチンはベンゾイルメサコニンになり、毒性は千分の一程度に減毒される。
これには専門的な薬学的知識が必要であり、非常に毒性が強いため素人は処方すべきでない。
附子が配合されている漢方方剤の例
葛根加朮附湯
桂枝加朮附湯
桂枝加苓朮附湯
桂芍知母湯
芍薬甘草附子
麻黄附子細辛湯
真武湯
八味地黄丸
牛車腎気丸
四逆湯
from: トリカブト - Wikipedia
2015-0528
3.
附子(ぶし)
分類
散寒薬
出典
神農本草経
処方用名
附子、生附子、生附、川附子、熟附子、炮附子、淡附子、製附子、黒附子、熟附片、淡附片、製附片、黒附片、ブシ、加工ブシ
基原
キンポウゲ科 Ranunculaceae のカラトリカブト Aconitum carmichaeli DEBX. その他の同属植物の子根、加工、炮製して利用することが多い。
性味
辛/熱。有毒。
帰経
心、腎、脾
効能
回陽救逆、補火助陽、散寒止痛
1.冷汗をかき、四肢が冷え、脈が微で触れにくいなどを呈する亡陽証に用いる。
附子は心陽を助けて脈を通暢させ、腎陽を補い亡脱した元陽を回復させる効能があるので、回陽救逆の要薬となる。
常に乾姜、甘草を配伍すると、回陽救逆の効能が強まる。例:四逆湯。
もし、大汗がしたたる、呼吸逼迫などの陽気暴脱証がみられると、大補元気の人参と配伍し、回陽固脱する。例:参附湯。
2.陽虚証に用いる。
本品は補火助陽の作用を特徴である。
およそ腎、脾、心など各臓の陽気衰弱証にはすべて適用する。
もし腎陽不足、命門火衰により、悪寒、四肢の冷え、腰がだるい、下肢が無力、インポテンツ、頻尿などの症状が見られると、肉桂、熟地、山茱萸などを配伍する。例:桂枝八味丸。
脾陽虚弱、陰寒内盛により、腹部が、泥状便あるいは水様便などを呈すると、益気温脾の人参、白朮、乾姜などを配伍する。例:附子理中丸。
脾腎陽虚、水湿内停により、小便量の減少、浮腫などをきたせば、助陽化気の効能を用い、常に健脾利水薬である白朮、茯苓などとともに用いる。例:真武湯。
心陽衰弱によって動悸、息切れ、心前区疼痛などを生じると、人参、桂枝などとともに用いる。
他に、衛陽虚による自汗には、黄耆、桂枝を、陽虚の上に風寒を感受したものには、麻黄、細辛を配伍する。
要するに附子は全身の陽気を温めることができ、およそ陽虚証である限り、みな用いられる。
3.痺痛に用いる。
寒湿偏盛による関節疼痛がひどい場合に適用する。
附子は祛除寒湿、温経止痛の作用がある。
常に桂枝、白朮などとともに用いる。例:甘草附子湯。
from: 薬膳情報.net-中薬(附子)
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/busi.html
2015-0528
4.
ヤマトリカブト
キンポウゲ科トリカブト属:多年草:草丈 ~1メートル:花期 ~10月
a.
分布生育場所/
科名:キンポウゲ科/属名:トリカブト属
和名:山鳥兜/生薬名:烏頭(うず)/附子(ぶし)/学名:Aconitum japonicum var.montanum
日本全土の山地などの日当たりの良い少し湿った場所に自生
新潟市角田山のヤマトリカブト
本州中部地域以北の高山に自生するハクサントリカブト、亜高山に自生するシロバナトリカブト
ニリンソウと似た場所に自生するヤマトリカブトの若葉とニリンソウの若葉
b.
見分け方・特徴/
山地、山すそなどに自生する多年草。
地中には、3センチくらいの塊根(かいこん)があり、倒卵形で褐色、短い柄でつながった新塊根があります。
茎は、直立して円柱形で約1メートル、上部はくの字形に曲がります。
葉は、深く3~5裂して手のひら状、表面はつやのある濃緑色です。
花は、8~10月茎頂や茎の上部から柄を出して、青紫色のかぶと状の花をつけます。
地方により、変異が多い特徴があります。
c.
採集と調整/
漢方では、母根を烏頭(うず)、子根を附子(ぶし)といいます。
漢方では、毒性を弱めて用います。
日本産の猛毒植物でも一番強い毒性があり絶対に口にしてはいけません。
d.
薬効・用い方
毒成分:アコニチン、メサコニチンなどのアルカロイド系
毒部分:全草特に塊根
中毒症状:流涎、口内炎、呼吸困難、中枢神経に作用して呼吸麻痺、痙攣、心臓麻痺で死亡
注意:早春の山菜の「ニリンソウ」と間違えて食べて死亡した例があります。
そのほかに、ゲンノショウコやモミジガサに似ていて、葉を噛んで味を見ると苦いので、トリカブトと判断できます。
e.
他/
名前の由来は、花の形が舞楽の伶人(れいじん)が、頭にかぶる鳥の兜(かぶと)に似ていることから、トリカブトと言われたとされています。
中国の古書には、トリカブトの「母根は鳥の頭の形に似ているので鳥頭(うず)、そのわきにつく子根は附子(ぶし)」という記述があります。
トリカブトの方言は多く、ブシ、ウジコロシ、ウズ、カブトバナ、カブトギクなどがある
from: 薬草,イー薬草・ドット・コム
http://www.e-yakusou.com/sou/soum023.htm
2015-0528
参考にした文献、サイト等
伝統医薬データベース 富山大学和漢医薬学総合研究所
Wikipedia
薬膳情報.net
薬草,イー薬草・ドット・コム
他
テーマ:生薬之
1.
附子 ぶし
a. 生薬
別名/ 加工附子, 塩附子, 炮附子, 黒附片, 白河附子
ラテン名/ Aconiti Radix (Processi Aconiti Radix)
英名/ Aconite Root (Processed Aconite Root)
科名/ キンポウゲ科 Ranunculaceae
基原/
ハナトリカブト Aconitum carmichaeli Debeaux
又は オクトリカブト Aconitum japonicum Thunberg
b. 薬用部位
塊根 (塊根を加工法により製したもの)
c. 含有方剤
阿膠附子湯 烏頭赤石脂丸 温脾湯 解急蜀椒湯 葛根加苓朮附湯 乾姜附子湯
甘草附子湯 近郊方朮附湯 桂姜棗草黄辛附湯 桂枝加朮附湯 桂枝加苓朮附湯
桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯 桂枝芍薬知母湯 桂枝二越婢一湯加苓朮附 桂枝附子湯 香朴湯
牛車腎気丸 三生飲 四逆湯 四逆加人参湯 芍甘黄辛附湯 芍薬甘草附子湯
芍薬甘草附子大黄湯 正観湯 小続命湯 舒筋立安散 真武湯 正観湯 壮原湯
大黄附子湯 大三五七散 大桃花湯 大防風湯 断痢湯 竹葉湯
丁香茯苓湯 丁附理中湯 通脉四逆湯 八味丸合人参湯 八味地黄丸 反鼻交感丹
白朮附子湯 茯苓四逆湯 補腎湯 奔豚湯[広済] 麻黄加苓朮附湯 麻黄附子甘草湯
麻黄附子細辛湯 薏苡附子敗醤散 利膈湯 六物附子湯
d. 薬理作用
鎮静,ストレス潰瘍抑制作用(エキス).鎮静,血圧降下,不整脈誘発作用(aconitine),強心作用(hygenamine, coryneine).鎮痛,抗炎症作用(mesaconitine).
e.
帰経 心・脾・腎
性 大熱,有毒
味 大辛
神農本草経 下品
中医分類 温裏祛寒薬
f.
備考 第十六改正日本薬局方収載品.
参考文献 NI: 一色直太郎, 『和漢薬の良否鑑別法及調製法』, 吐鳳堂書店, 東京, 1987
from: 伝統医薬データベース 富山大学和漢医薬学総合研究所
2015-0528
2.
a.
分類
界/ 植物界 Plantae
門/ 被子植物門 Magnoliophyta
綱/ 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱/ モクレン亜綱 Magnoliidae
目/ キンポウゲ目 Ranunculales
科/ キンポウゲ科 Ranunculaceae
属/ トリカブト属 Aconitum L., 1753
英名/ monkshood
b.
名称・類縁
トリカブト
(鳥兜・学名Aconitum)は、キンポウゲ科トリカブト属の総称
c. 要旨
トリカブトの仲間は日本には約30種自生している。
花の色は紫色の他、白、黄色、ピンク色など。
多くは多年草である。
沢筋などの比較的湿気の多い場所を好む。
トリカブトの名の由来は、花が古来の衣装である鳥兜・烏帽子に似ているからとも、鶏の鶏冠(とさか)に似ているからとも言われる。英名の"monkshood"は「僧侶のフード(かぶりもの)」の意。
塊根を乾燥させたものは漢方薬や毒として用いられ、烏頭(うず)または附子(生薬名は「ぶし」、毒に使うときは「ぶす」)と呼ばれる。
本来「附子」は、球根の周り着いている「子ども」の部分。
中央部の「親」の部分は「烏頭(うず)」、
子球のないものを「天雄(てんゆう)」
と呼んでいたが、現在は附子以外のことばはほとんど用いられていない。
ドクウツギ、ドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされる。
ヨーロッパでは、魔術の女神ヘカテーを司る花とされ、庭に埋めてはならないとされる。
ギリシア神話では、地獄の番犬といわれるケルベロスのよだれから生まれたともされている。
狼男伝説とも関連づけられている。
d. 同定、他
地方により、変異が多い特徴がある
ニリンソウと似た場所に自生するヤマトリカブトの若葉とニリンソウの若葉は間違える例がある
致死毒性強くは特に注意が必要だ
a)
主な種/
ハナトリカブト (A. chinense Sieb. ex Sieb. et Zucc.)
カワチブシ (A. grossedentatum (Nakai) Nakai)
ハクサントリカブト (A. hakusanense Nakai)
センウズモドキ (A. jaluense Kom.)
ヤマトリカブト (A. japonicum Thunb.)
ツクバトリカブト (A. japonicum Thunb. subsp. maritimum (Nakai ex Tamura et Namba) Kadota)
キタダケトリカブト (A. kitadakense Nakai)
レイジンソウ (A. loczyanum R. Raymund.)
ヨウシュトリカブト (A. napellus L.) 模式種
タンナトリカブト (A. napiforme Lev. et Van.)
エゾトリカブト (A. sachalinense Fr. Schm.) - アイヌが矢毒に用いた[8]。
ホソバトリカブト (A. senanense Nakai)
オオレイジンソウ (A. umbrosum (Korsh.) Kom.)
ダイセツトリカブト (A. yamazakii Tamura et Namba)
化学成分からみて妥当な分類としてトリカブト属が30種、変種が22種、計52種という多くの種類が存在。
b)
毒性/
トリカブトの毒の一つ アコニチン
比較的有名な有毒植物。
主な毒成分はジテルペン系アルカロイドのアコニチンで、他にメサコニチン、アコニン、ヒバコニチン、低毒性成分のアチシンの他ソンゴリンなどを全草(特に根)に含む。
採集時期および地域によって毒の強さが異なる。
食用することは非常に危険である。
食べると嘔吐・呼吸困難、臓器不全などから死に至ることもある。
経皮吸収・経粘膜吸収され、経口から摂取後数十秒で死亡する即効性がある。
半数致死量は0.2~1グラム。トリカブトによる死因は、心室細動ないし心停止である。
下痢は普通見られない。 特異的療法も解毒剤もないが、各地の医療機関で中毒の治療研究が行われている。
芽吹きの頃にはセリ、ニリンソウ、ゲンノショウコ、ヨモギ等と似ているため、誤食による中毒事故(死亡例もある)が起こる。
株によって、葉の切れ込み具合が異なる。
蜜、花粉にも中毒例がある。
このため、養蜂家はトリカブトが自生している所では蜂蜜を採集しないか開花期を避ける。
c)
漢方薬/
附子(生薬)
漢方ではトリカブト属の塊根を附子(ぶし)と称して薬用にする。
本来は、塊根の子根(しこん)を附子と言い、「親」の部分は烏頭(うず)、また、子根の付かない単体の塊根を天雄(てんゆう)と言って、それぞれ運用法が違う。
強心作用、鎮痛作用がある。
また、牛車腎気丸及び桂枝加朮附湯では皮膚温上昇作用、末梢血管拡張作用により血液循環の改善に有効である。 しかし、毒性が強いため、附子をそのまま生薬として用いることはほとんどなく、修治と呼ばれる弱毒処理が行われる。
炮附子は苦汁につけ込んだ後、加熱処理したもの。加工附子や修治附子は、オートクレーブ法を使って加圧加熱処理をしたもの。
修治には、オートクレーブの温度、時間が大切である。温度や時間を調節することで、メサコニチンなどの残存量を調節する。
この処理は、アコニチンや、メサコニチンのC-8位のアセチル基を加水分解する目的で行われる。
これにより、アコニチンはベンゾイルアコニンに、メサコニチンはベンゾイルメサコニンになり、毒性は千分の一程度に減毒される。
これには専門的な薬学的知識が必要であり、非常に毒性が強いため素人は処方すべきでない。
附子が配合されている漢方方剤の例
葛根加朮附湯
桂枝加朮附湯
桂枝加苓朮附湯
桂芍知母湯
芍薬甘草附子
麻黄附子細辛湯
真武湯
八味地黄丸
牛車腎気丸
四逆湯
from: トリカブト - Wikipedia
2015-0528
3.
附子(ぶし)
分類
散寒薬
出典
神農本草経
処方用名
附子、生附子、生附、川附子、熟附子、炮附子、淡附子、製附子、黒附子、熟附片、淡附片、製附片、黒附片、ブシ、加工ブシ
基原
キンポウゲ科 Ranunculaceae のカラトリカブト Aconitum carmichaeli DEBX. その他の同属植物の子根、加工、炮製して利用することが多い。
性味
辛/熱。有毒。
帰経
心、腎、脾
効能
回陽救逆、補火助陽、散寒止痛
1.冷汗をかき、四肢が冷え、脈が微で触れにくいなどを呈する亡陽証に用いる。
附子は心陽を助けて脈を通暢させ、腎陽を補い亡脱した元陽を回復させる効能があるので、回陽救逆の要薬となる。
常に乾姜、甘草を配伍すると、回陽救逆の効能が強まる。例:四逆湯。
もし、大汗がしたたる、呼吸逼迫などの陽気暴脱証がみられると、大補元気の人参と配伍し、回陽固脱する。例:参附湯。
2.陽虚証に用いる。
本品は補火助陽の作用を特徴である。
およそ腎、脾、心など各臓の陽気衰弱証にはすべて適用する。
もし腎陽不足、命門火衰により、悪寒、四肢の冷え、腰がだるい、下肢が無力、インポテンツ、頻尿などの症状が見られると、肉桂、熟地、山茱萸などを配伍する。例:桂枝八味丸。
脾陽虚弱、陰寒内盛により、腹部が、泥状便あるいは水様便などを呈すると、益気温脾の人参、白朮、乾姜などを配伍する。例:附子理中丸。
脾腎陽虚、水湿内停により、小便量の減少、浮腫などをきたせば、助陽化気の効能を用い、常に健脾利水薬である白朮、茯苓などとともに用いる。例:真武湯。
心陽衰弱によって動悸、息切れ、心前区疼痛などを生じると、人参、桂枝などとともに用いる。
他に、衛陽虚による自汗には、黄耆、桂枝を、陽虚の上に風寒を感受したものには、麻黄、細辛を配伍する。
要するに附子は全身の陽気を温めることができ、およそ陽虚証である限り、みな用いられる。
3.痺痛に用いる。
寒湿偏盛による関節疼痛がひどい場合に適用する。
附子は祛除寒湿、温経止痛の作用がある。
常に桂枝、白朮などとともに用いる。例:甘草附子湯。
from: 薬膳情報.net-中薬(附子)
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/busi.html
2015-0528
4.
ヤマトリカブト
キンポウゲ科トリカブト属:多年草:草丈 ~1メートル:花期 ~10月
a.
分布生育場所/
科名:キンポウゲ科/属名:トリカブト属
和名:山鳥兜/生薬名:烏頭(うず)/附子(ぶし)/学名:Aconitum japonicum var.montanum
日本全土の山地などの日当たりの良い少し湿った場所に自生
新潟市角田山のヤマトリカブト
本州中部地域以北の高山に自生するハクサントリカブト、亜高山に自生するシロバナトリカブト
ニリンソウと似た場所に自生するヤマトリカブトの若葉とニリンソウの若葉
b.
見分け方・特徴/
山地、山すそなどに自生する多年草。
地中には、3センチくらいの塊根(かいこん)があり、倒卵形で褐色、短い柄でつながった新塊根があります。
茎は、直立して円柱形で約1メートル、上部はくの字形に曲がります。
葉は、深く3~5裂して手のひら状、表面はつやのある濃緑色です。
花は、8~10月茎頂や茎の上部から柄を出して、青紫色のかぶと状の花をつけます。
地方により、変異が多い特徴があります。
c.
採集と調整/
漢方では、母根を烏頭(うず)、子根を附子(ぶし)といいます。
漢方では、毒性を弱めて用います。
日本産の猛毒植物でも一番強い毒性があり絶対に口にしてはいけません。
d.
薬効・用い方
毒成分:アコニチン、メサコニチンなどのアルカロイド系
毒部分:全草特に塊根
中毒症状:流涎、口内炎、呼吸困難、中枢神経に作用して呼吸麻痺、痙攣、心臓麻痺で死亡
注意:早春の山菜の「ニリンソウ」と間違えて食べて死亡した例があります。
そのほかに、ゲンノショウコやモミジガサに似ていて、葉を噛んで味を見ると苦いので、トリカブトと判断できます。
e.
他/
名前の由来は、花の形が舞楽の伶人(れいじん)が、頭にかぶる鳥の兜(かぶと)に似ていることから、トリカブトと言われたとされています。
中国の古書には、トリカブトの「母根は鳥の頭の形に似ているので鳥頭(うず)、そのわきにつく子根は附子(ぶし)」という記述があります。
トリカブトの方言は多く、ブシ、ウジコロシ、ウズ、カブトバナ、カブトギクなどがある
from: 薬草,イー薬草・ドット・コム
http://www.e-yakusou.com/sou/soum023.htm
2015-0528
参考にした文献、サイト等
伝統医薬データベース 富山大学和漢医薬学総合研究所
Wikipedia
薬膳情報.net
薬草,イー薬草・ドット・コム
他