ガッシャーン![]()
寝室から何か大きな音が聞こえた
ドアを開けるとトカゲスが一言
「救急車を呼んでくれ」
とつぶやく
「何?何?どうしたのよ」
ベッドの周りをよく見ると
大量の薬を飲んだと思われる形跡
「離婚するなら俺は死ぬ」
「………」
トカゲスは自分と別れられないように
卑怯な手を使った
自殺未遂
絶対に本気で死ぬ気なんかない
本気なら、まず音を立てて知らせないし
すぐに「救急車呼んでくれ」
なんて言わないはず
毎度のことだがトカゲスは
「最優秀演技賞受賞者」だ
自分を可哀想な主人公にして
大袈裟な演技をして見せる
やれやれ、、、
私は冷静だった
救急車なんて呼ぶ訳はない
近所迷惑
とりあえず車に乗せて夜間の救急外来へ向かう
病院での処置中に先生から尋ねられる
「何がありましたか?」
「離婚したいと言ったら薬を飲んだみたいです」
「でも死ぬ気なんかないと思います
ただ、離婚したらこうなるという事を私に見せつけているだけです」
先生も看護師さんも苦笑い
病院でも警察でも民事不介入
これ以上は当人同士の問題でしかない
処置が終わり自宅へ帰る
トカゲスはきっとこれからも
こんな事を繰り返すに違いない
今はまだ無理だと悟る
お人好しすぎ!!
そんな奴なんて放ってすぐに家を出ればいい
って誰もが思うよね
自分でもそう思う
でも、ずっと私の頭の中に聞こえてくる声というか感覚がある
「これは魂の成長の為の経験
今はまだタイミングではない
その時が来たら教える」
その言葉に妙に納得してしまった
子供の頃から、いつも私を導いてくれる誰かが側にいる
もう1人の自分のような存在で
私を守りピンチの時はサインをくれる
トカゲスに殴られた時には手でかばわれたような
感覚もあった
いきなり不思議な世界の話しになったが
その話しはまた別の機会に
とにかく今はまだそのタイミングでは無いようだ
みんたかひめ
