仕事関係で知り合った方に70歳の女性がいる。
バリバリの現役クラブのママで、非常にキレイで華がある方である。
こちらのクラブは私の住んでおる地方都市の飲み屋街では名だたる有名店で、私のような一般腐女子でも名前くらいは聞いたことがある名店。
この70歳の方はそのクラブの大ママ、いわゆる経営者。
聞けば(ご本人談)元銀行員で、バツイチ、息子さんが2人。
右も左も分からず、息子2人を育てる為に銀行員をしながら夜の世界に飛び込んだという。
銀行員とホステスをしながら必死に生活をしておった中、あっという間にNo.1に。
『あなたには夜の仕事の才がある。』と周りに言われ、人の助けを借りながら夜職デビューからたった1年弱で今のお店をオープン。
再婚もせず、決まった殿の力も借りず、小さなスナックであったお店をクラブにまでし、多い時にはママが3人、チーママ5人、ボーイやらマネージャーやらと人が増え、ホステスは現在総勢20名。
週末にはジャズの生演奏もある。(数年前に一度だけ『お店に遊びにおいで』と誘われて週末にお邪魔したが、グランドピアノにはプロのピアニストさんがいて、仰っておった通りジャズの生演奏が繰り広げられていた…)
大ママであるその人本人は現在週末だけお店に出ておられるらしい。(だから週末にお邪魔したのだ)
そして先日、店は36周年を迎えたという。
36周年の宴の写真を見せて頂いたが、昔よくドキュメンタリーでやっていた『華やかな銀座の夜』のように36周年を祝う物凄い数の花がズラリと並び、シャンパンの空き瓶がズラリと並び、有名人のミニライブの様子や、カメラに向かって相撲取りとピースしておる着物姿の大ママ様の様子に私は度肝を抜かれた。
この円安で物価高、一般庶民はヒーヒー言いながら生きておるこの時代に、まだこんなバブルが潜んでいたのか……と思った。
おまけにこの方は『男はこりごり、いらない。あんな面倒くさいことはない。』が口癖で、今は38歳の男性と食事に行ったりお茶に行ったりするのが楽しみで、癒しとエネルギーをもらう時間だという。
無類の沖縄好きで、2ヶ月に一度は必ず家族や友達、時にはお客様家族と沖縄に行き、沖縄の高級ホテルで羽根を伸ばし、エステをして地元である我が町に戻ってくる…というのがルーティンである。
その都度お土産を頂くのだが、また土産も洒落ている。
結局、私は何が言いたいかというと…
その方は一般庶民、おまけに薄給OLなんぞの私がいくら憧れたところで到底どうにもこうにもならない、憧れようにも憧れるだけムダ…という世界線で生きておられる方なのだ![]()
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そのような『憧れるけど憧れ損』な方から『お店が36周年で慌ただしく、なかなか連絡できずにごめんなさい。』と、今日LINEが来た。
まずお店の36周年に対し祝いの言葉を述べ、今に至るまでの経緯を知っておる私は『本当にすごいです』と素直な感想を綴った。
するとその人から、
『気持ちがあれば誰でもできます。山谷はたくさんあったけれど、私は夢があったし、どんな時でも前だけを見ていましたから。』
と返信が来た。
人生の華麗なる成功者の言葉は身に染みた。
比べてはならぬとは思うが、この方と同世代の元ラウンジママ…という女性を知っている。
この方も長く華やかな世界で生き、今もとてもキレイな方である。
バツイチ、息子さんがいる…というところまではお二人は同じであるが。。。。
この方は雇われママであったこともあり、50代で夜の世界を引退。内縁関係にあった男性と生活を共にされていた。
だが、生活を始めてから数年後に内縁の男性が他界。
この女性は年金をかけていなかった為、収入が途絶えた。
夜の世界しか知らぬこの方は、収入を得る為に働く…ということを選択しなかった。
ママ時代に蓄えた貯蓄で生活されていたが、夜の世界にいた時に培った癖が抜けず、昼間からカラオケスナックを梯子し、酒を飲む暮らし。
やめればいいのにやめられないの典型で、あっという間に貯蓄が底を尽き始め『生活保護を受けなくてはならないかもしれない』というところまで来てしまった。(実際相談を受けた
)
お金の不安から体調を崩し、心療内科にまで通うようになられていた。
そんな時…
歳を重ねても衰えぬ美貌と愛想のよさで、行きつけの飲み屋で新たなパトロンとなる歳上の男性と知り合い、今に至っておられる。
だが…悲しいかな、この方はこのパトロン男性を失ったら、また生活の糧を失うことになる。
まさしく『リアル版・殿がいなけりゃ生きていけない』てな感じである。。。。
同じ時代の夜を、同じように懸命に行き抜いて来た2人の人生の大先輩。
真逆過ぎる大先輩2人に可愛がって頂ける…というのも、いろんな意味でなかなかオツなもの。
誰がどう見ても前者の方が人生の成功者で、後者の方は『あちゃ~』であるのが本当のところであろうが……
それでも人生、最後までどうなるかなんぞ誰にも分からない。
羨ましいな~。
失礼だけどあんな風にはなりたくない。
そんな風に双方それぞれに思ってしまう、
人生の教師の中の教師。
と
人生の反面教師。
そんな2つの人生を間近で見させて頂いておる私は、ある意味とても恵まれているのかもしれない![]()
でもでも、
私の心からの本音は……
薄給でもなんでもっ!平凡なサラリーマンでよかったぞ![]()
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なのでございます![]()
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