仕事を終え、帰宅した。
携帯を見ると大家さんから何度も着信があった。
かけ直してみると…
『ミントさん、すぐに警察に電話して。』
とのことだった。
何でも警察に
『○○に停まっている✕✕という車にバイクをぶつけてしまったかもしれない…』
という連絡が入り、ナンバープレートから持ち主が私だということが判明。
秀晴の元に駆けつけた警察官がそのまま駐車場の持ち主である大家さんを尋ね、事の経緯を説明。
『ですので…車の持ち主であるミントさんと連絡を取りたいので、大家さんから電話を入れてほしい。』
と言われたらしい。
私が仕事をしておる間に駐車場に鎮座しておる秀晴の身に一大事が起きていたのだ
大家さんとの電話を終えた私はすぐに警察に電話を入れた。
『秀晴っ!秀晴~っ!』
私は取り乱しつつ、秀晴にすがりついて『今から向かいます』という警察官の到着を待った。
だが…
秀晴の身体に傷は見当たらない。
外は暗く、よく分からないのが現状であった。
『秀晴ぅぅ~!』
秀晴の身体に身を寄せ、『バンパー部分』と聞いていた傷を必死に確認しようとしておると…
警察官がやって来て、詳しい話を聞いた。
ぶつけてしまったかもしれないのは配達中の郵便局員。
配達中で急いでいてスピードを出し、曲がり角でバイクがスリップして転倒。
その拍子に停めてあった車に転倒したバイクが当たったような気がする…との通報があったので現場に急行。
『当たったかもしれない。でも当たっていないかもしれない。』
というのが本人の言であったらしく、本人と警察官で車を確認するとバンパー部分に傷がある。
これは果たしてスリップした際にバイクが当たってできた傷なのか、そうでないのかの確認を持ち主様であるミントさんに取りたい…とのことであった。
懐中電灯を持った警察官と私は、秀晴のその傷の箇所に近付いた。
目視では暗くて、私には確認できなかった。
まさか…
と、警察官の持った懐中電灯に照らされた左バンパーの下側を見てみると…
秀晴はしっかりスリ傷を負っていた
酷くはないが、今まで明らかになかった傷である。
『秀晴っ!秀晴ぅぅ~』
警察官→『ミントさん、この傷は…』
ミント→『こんな傷、今までありませんでしたっ!明らかに当たってます嗚呼嗚呼~!!秀晴ぅ~』
この後…
スリップし、秀晴にケガを負わせた本人である郵便局員も警察官から連絡を受けて現場にやってきた。
『本当にすみませんでした…』
真面目でおとなしそうなその青年は、言葉少なに謝罪をしてきた。
青年自体、ケガを負ったらしく腕には血が滲み軽くびっこも引いていた。
その後…
郵便局所長も登場し、平謝りに謝られ、
『とにかく元に戻して頂ければそれでいいので。』
と答えた私。
しかし…
今回のことは私はまったく無過失であり、災難だといえば災難だが、私自身がケガをしたり、運転中の生死に関わるような事故でもなかった。
郵便局員の仕事中の事故…ということで本人がきちんと警察に申し出ただけ事なきを得たのかもしれない。
世の中には平気で当て逃げする人なんぞもいるのだ。
不幸中の幸いであった。
そんなこんなで、『大したことではない』とは重々分かってはおるが…
今から訪れる煩雑な手続きややり取りを考えると、『けど災難は災難だよな~』…ともやっぱし思う
とにもかくにも青年、早く傷を直してくだされ。
秀晴、お主のことはちゃんとディーラーで、手厚く、丁寧に、すぐに直してあげるからね
生きてりゃいろんなことがある。
災難だけど災難じゃない。
災難とまではいかないような気もするけど、でもやっぱり災難は災難
皆さん、車もバイクも自転車も、安全運転で