こんにちは!お久しぶりです。
MINT新宿店MLB担当のホソミです。
昨年2020年はMLBの歴史でも類を見ないイレギュラーなシーズンとなりました。
新型コロナウイルスのパンデミックによる影響で開幕が遅れ、レギュラーシーズンが60試合のショートシーズンとなったり、ナショナル・リーグにDH制が導入されたりと、様々な変化の中で開催されたシーズンでした。
選手もMLB機構側も体験したことの無いイレギュラーなシーズンは、近年稀に見る大激戦となったポストシーズンを制したロサンジェルス・ドジャースが32年ぶりのワールドチャンピオンに輝きました。
史上初の16チームによるポストシーズンは数々の名場面を生み出しましたが、激戦の中で輝いたのは優勝したドジャースの選手ばかりではありませんでした。
その年のポストシーズンで最も顕著な活躍をした選手に与えられる『ベーブ・ルース賞』を受賞したのは、惜しくもワールドチャンピオンを逃したタンパベイ・レイズ所属の、それも前年までは全くといっていいほど無名だった若手選手でした。
2020 TOPPS CHROME Rookie Autographs Refractors / Randy Arozarena 【155/499】
40,000円
2020年彗星のごとく現れ、歴代のポストシーズン記録を次々に塗り替えて一躍全米中の注目を集めた選手こそが、タンパベイ・レイズの25歳の外野手ランディ・アロサレーナ選手です。
そのポストシーズンでの活躍はすさまじく、それまでニューヨーク・ヤンキースの伝説的英雄デレク・ジーター氏が持っていた1ポストシーズンにおける新人最多安打記録を塗り替えたのを皮切りに、いずれも1ポストシーズンにおける歴代最高記録である29安打、10本塁打、64塁打を記録し、レイズを球団史上2度目のワールドシリーズ進出に導きました。
特殊なポストシーズンで試合数が多かったとはいえ、この年のアロサレーナ選手の大活躍はMLBファンの間で後世まで語り継がれるような衝撃的なものであったことは間違いありません。
センセーショナルな活躍でその名を知らしめたアロサレーナ選手は、2019年のナ・リーグMVPコディ・ベリンジャー選手や、2020年ア・リーグ投手三冠を達成したサイ・ヤング賞投手シェーン・ビーバー選手らと同じ1995年生まれの選手ですが、そのキャリアは彼らのように順風満帆なものではありませんでした。
元々、アロサレーナ選手は生まれ故郷であるキューバの野球リーグに所属していましたが、家族の経済状況などの問題を抱え、命がけでメキシコへ亡命。その後、セントルイス・カージナルスとマイナー契約を結びました。
その後も、2019年途中まではカージナルスのマイナー暮らしが続き、念願のメジャーデビューを果たした後もすぐにレギュラー定着とはいきませんでした。当時のカージナルスは激しい地区優勝争いの真っただ中だったため、十分な出場機会を得ることはできず、19試合の出場にとどまりました。
2020 TOPPS SERIES 2 85 Silver Pack Chrome / Randy Arozarena
3,000円
カージナルスでは出場機会に恵まれなかったアロサレーナ選手ですが、少ない出場機会で打率.300、OPS.891を記録していた打撃に目を付け、トレードで獲得したのが、現在の所属先であるタンパベイ・レイズでした。
とはいえ、トレードが成立した際も報道されたのは同じトレードでレイズに移籍したホセ・マルティネス選手(2018年 打率.305、OPS.821)がメインに報じられただけでアロサレーナ選手はそれほど注目された訳ではありませんでした。
レイズ移籍して迎えた2020年も、開幕前に新型コロナウイルス陽性反応が出たため、開幕戦から出場することは叶いませんでした。
しかし、開幕から約1か月が経った8月30日にようやくシーズン初出場を果たすと、ここからアロサレーナ選手の快進撃が始まります。
初出場後は自慢の打棒を発揮して徐々に出場機会を増やし、23試合で打率.281、7本塁打、長打率.641、OPS 1.022、OPS+ 179を記録。
シーズンの勢いそのままに迎えたポストシーズンではさらに調子を上げ、ワイルドカードシリーズからワールドシリーズまですべてのシリーズでOPS 1.100以上を記録。ニューヨーク・ヤンキースやヒューストン・アストロズといった強豪チームを撃破し、球団史上2度目のワールドシリーズ出場に導きました。
上述したように数々のポストシーズン記録を塗り替える活躍を見せたアロサレーナ選手は、新人野手としては史上初のリーグチャンピオンシップMVPに選ばれました。
プレーオフでの華々しい活躍で一躍時の人となったアロサレーナ選手ですが、チームはワールドシリーズでドジャースに2勝4敗で敗北。球団史上初のワールドチャンピオンにはまたも手が届きませんでした。
アロサレーナ選手も今2021年は他球団からのマークも厳しくなることが予想されています。レギュラーとして開幕を迎えるであろう今シーズンはその真価を問われる1年になるかと思われます。
レイズとしても、チームの先発の柱であったブレイク・スネル選手(TB→SD)とチャーリー・モートン(TB→ATL)を失っており、打撃陣の更なるレベルアップが求められます。
その中心核として期待されるアロサレーナ選手にも、初の規定打席到達だけでなく、2020年に見せたような活躍を1年通して見せることができれば、レイズの球団初の世界一に大きく近づくことは間違いありません。
まだまだ多くのトッププロスペクトをマイナーに抱えているレイズの、今後の更なる躍進に期待です!