Deep River | Promised Land -帰りたい何処か-

Promised Land -帰りたい何処か-

わたしにとっての「約束の地」はどこなのか?

その答えを今探しています。

借りてきた宇多田ヒカルのアルバム。
確か2004年の5月か6月くらいに発売されたアルバムのはずだ。
私の記憶によると。



そのころの私は、社会に出たばかりで、
事業所での配属前工場実習の最中だった。
三交替勤務をやっていた頃だ。


同期42人が5つの主要工場に配属されて、
そのうち同じ配属先になった同期のうちのひとりが宇多田ヒカルのファンで、
このアルバムが出るのを楽しみにしていたのを覚えている。


点と点をつなぐように
線を描く指がなぞるのは
私の来た道? それとも行き先?


最近よく思う。
あの分岐点で、今の仕事を選ばなかったら、
会社で私は今頃何をしていたのだろうか、と。

相変わらず、あの頃と同じ仕事をしていたのだろうか。

あのままいたら私は入社5年目。もうすぐ6年目を迎える頃。
中堅社員だ。
私が新入社員だった頃の、隣のGの先輩と同じくらい。
立派なエンジニアになれていたのだろうか。


それとも、体力が持たなくて、潰れてしまっていたのだろうか。


または、遠い事業所に異動になっていたのだろうか。


いくつもの河を流れ
わけも聞かずに
与えられた名前とともに


全てを受け入れるなんてしなくていいよ
私たちの痛みが今 飛び立った


人生という名の河をゆっくりと、でも確実に流れてきて
今の私はここにいる。
いろんな人と関わって、別れて、出会って、今ここにいる。
何が正しくて、何が間違っていたのか、
今ではもうわからなくなってしまっていることもある。



時には流れを変えて何も待たずに与えられた
名前とともに


新しい河へと流れていくことも、
それが自分の望みなのか、破滅なのか、わかりかねている。
自分の能力も、正確に把握しきれてないのかもしれない。


何度も姿を変えて
私の前に舞い降りたあなたを
今日は探してる


どんどん結婚していったかつての仲間や先輩、後輩に囲まれた私は、
一人でいたのだろうか、それとも結婚していたのだろうか。



あの頃大好きだった人とは今は別れてしまったけれど、
今の道を選んだからこそ出会えた大切な人が、今の私にはいる。

運命の人がいるとしたら、どんな河を流れていったとしても
どこかでちゃんと出会えるのだろうか。



どこでも受け入れられようとしないでいいよ
自分らしさというツルギを皆授かった



その剣は、大切なものだけれど、
それは、自分を守るだけじゃなくて、
自分の大切な人やものを守るためのものでもある。
それをできるようにならないとね。


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「Deep River」を聞いていたら、
入社当時のことを思い出した。

一昨年、同期の結婚式の二次会で、かつての同期数人と渋谷で飲んでいた時、

「あの頃(配属前実習)、なんだかよくわかんないけど、
 妙に楽しかったよな」

って話をしていたけど、会社を辞めた私だけじゃなくて、
今も勤め続けてる皆もそう思ってるんだ、と思った記憶がある。



社会に出たばかりで、右も左もわからず、
銀座の高層ビルにいたと思ったら180度変わって工場での実習が始まって、
実業団のチームの応援団をやったり、夜遅くまで飲んで語り明かしたり、
本当にいろんなことがあったけど、今ある記憶は「楽しかった」こと。



今の職場にも新人枠で入っているので、同期はいるんだけど、
もう社会に出て数年が経っていたから、結構冷静だった気がする。
新人というよりは「異動」みたいな感覚だった。



あの頃のことが、今では幻のようにさえ思えるけれど、
でも、それはきっと確かにあったことなんだよね。





ちょっとセンチメンタルになった真冬の深夜。