同窓会で再会した男と女。
ふたりは、かつて恋人同士だった。
女が男に頼んだこととは・・・
自分の失われた過去を一緒に探すことだった。
今現在、女が抱えている苦悩の解決の糸口が、
失われた彼女の過去の記憶と関係があるのではないか、と
彼女は考えていた。
そして、「家」にたどり着き、その過去を紐解いていった。
二人は、苦労しつつも、その家で過去に何があったのか、
彼女とその家との関係を知るところとなる。
「私はやはり、私以外の誰でもないのだと信じて、
これからも生きていこうと思います。」
これが、彼女の結論だった。
誰しも、過去があって現在があり、
そして未来へと繋がっていると信じている。
実際そうなのだろうとも思う。
だけど、「あれ」以来私は、
現在に繋がらない「過去」は
現在を蝕み、未来さえ無くしてしまう意味の無いもの、
下手をすれば悪でさえあると思う。
今の私は何なのか。
この本の主人公やヒロインは子供の頃、その頃の「家」で
死んだのかもしれないといっている。
そして、その頃の自分は、誰かが迎えに来てくれるのを
ただひたすら待っているのかもしれないとも。