日本経済新聞によると、金融庁は大規模な保険代理店の規制強化に乗り出します。
複数の保険会社の商品を扱う一定規模以上の乗り合い代理店に対し、コンプライアンス(法令順守)担当者の設置を義務づけるなど複数の案を検討します。
内部管理体制の拡充を求めることで、中古車販売店大手の旧ビッグモーターによる保険金不正請求のような不正が再発する事態を防ぎます。
鈴木俊一金融相が、金融審議会(首相の諮問機関)総会で、新規制の検討を諮問する見込みです。
金融庁は2024年9月中に新たな会議体を立ち上げ、有識者を交えた議論を始めます。
2025年に保険業法改正案を国会に提出することを視野に、新規制案の具体化を急ぎます。
15社以上の保険会社の商品を扱うなど一定規模以上の代理店は現在、保険会社から受け取る手数料などを記した事業報告書を年1回提出する必要があります。
こうした代理店は500社程度あるとみられます。
新たに上乗せする規制では対象の代理店を更に絞り込んだうえで、法令順守の強化につながるルールを追加で課していく方針です。
法令順守担当者の配置や、内部通報体制の構築を義務づける案などを検討する見通しです。
新規制の対象となる代理店を決めるため、保険会社に取引関係がある大規模代理店の保険料収入の提出を求めるなど現状把握のための調査を進めます。
調査結果を基に、保険料収入や従業員数といった新たな大型代理店の基準を設けた上で、規制を適用していく方向です。
金融庁が大規模な乗り合い代理店に照準を合わせる背景には、旧ビッグモーターによる大規模な不正の発覚があります。
旧ビッグモーターでは、会社法上の要件を満たす取締役会を開いていなかったり、内部通報の規定が整備されていなかったりするなどガバナンス(企業統治)上の不備が多数見つかりました。
金融庁は、不適切な内部管理体制が不正の拡大を招いたとみています。
大型代理店は顧客の数が多く、不正が実行された場合の被害も大きくなる可能性があるため、規模の小さな代理店よりも厳しい規制が必要だと判断しました。
ブローカー(保険仲立ち人)の活用促進に向けた議論も始めます。
今の規制ではブローカーと保険代理店が協業することはできませんが、この規制の緩和を検討し、企業がブローカーと代理店の両方を使って、より良い内容の保険契約を結べるようにします。
2023年に発覚した大手損保による企業向け保険の価格調整問題では、企業が自社グループの代理店に依存し、不適切な保険契約を見破れない実態も浮き彫りになりました。
より中立的な立場のブローカーが関与することで、企業が対等な立場で保険会社側と交渉し、カルテルなどの不正が起きないようにします。
金融庁は大型代理店に対する新規制の検討と並行して、資金決済法の見直しについても議論を始めます。
同法は銀行以外の事業者にも一定の決済サービスなどの提供を認める「資金移動業」を規定しています。
この資金移動業の登録に関する要件が、現在の金融サービスの状況に合っているかを検討します。
例えば、近年増えている後払い決済サービスを提供する事業者は資金移動業の登録対象になっていません。
利用者から資金を事前に預かり、支払いに充てる従来の決済サービスとは異なるためです。
ただ、事前に資金を預かっていないとしても、提供しているサービスの質は同等だとの指摘もあります。
金融庁関係者は「世の中の動きに法律が追いついていないなら必要な部分は見直していきたい」と語っており、今後立ち上げる金融審議会の作業部会で議論していく考えのようです。
自己の利益のために、お互いが修理を依頼したり、保険の契約を取っていたりしていたわけですから、その辺りはきちんと規制して欲しいですね。
あと、保険会社が大手代理店に広告費を支払うなど、自分のところの保険を扱ってもらうために渡したり、大手代理店に出向した保険会社の職員が個人情報を漏らしたりしているわけですから、コンプライアンスの面も含めて、保険会社と大手代理店のおかしな関係を断ち切って欲しいですね。
金融庁がビッグモーターの不正で大型保険代理店に新規制をすることについて、あなたはどう思われましたか?