保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始! | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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法人である中小企業者が、一定の要件を満たした場合に、保証料率の上乗せを条件に保証人による保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等が創設され、2024年3月15日から取扱いを開始されました。

2022年12月23日、経済産業省は金融庁・財務省とも連携の下、①スタートアップ・創業、②民間金融機関による融資、③信用保証付融資、④中小企業のガバナンス、の4分野に重点的に取り組む「経営者保証改革プログラム」を策定しました。

同プログラムでは、「経営者保証に関するガイドライン」(以下「経営者保証ガイドライン」という。)が定める経営者保証を提供することなく資金調達を受ける場合の要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)を充たしていれば経営者保証を解除する現在の取組を徹底するとともに、経営者保証ガイドラインの要件のすべてを充足していない場合でも、経営者保証の機能を代替する手法を用いることで、経営者保証の解除を中小企業者が選択できる制度を創設することなどが明記されました。

こうした背景等を踏まえて、中小企業の4割が利用している信用保証制度において、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させ中小企業の事業の発展を後押しするため、以下の3つの制度を創設し、2024年3月15日から保証申込の受付を開始しました。

なお、本制度の利用に関しては、金融機関または最寄りの信用保証協会にお問い合わせください。


1.事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の創設について
信用保証付融資において、一定の要件を備えた中小企業者が保証料率の上乗せを条件として経営者保証を提供しないことを選択できる制度です。

本制度を様々な信用保証付融資に適用することで、経営者保証を提供することなく融資を受けることができます。

●事業者選択型経営者保証非提供制度の概要●
<要件>
    
次の要件のいずれにも該当すること(*)
① 過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において決算書等(*1)を申込金融機関の求めに応じて提出していること。
② 直近の決算において代表者(*2)への貸付金等(*3)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。
③ 直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと。
④ 上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。
⑤ 中小企業者が、保証料率の上乗せにより保証人の保証を提供しないことを希望していること(*4)。

(*)法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

<保証料率>
上記の③の要件の両方を満たす場合
→信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ
上記の③の要件のいずれか一方を満たす場合又は法人の設立後2事業年度の決算がない場合
→信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ

 

<保証人>

不要
 

<対象となる保証>

無担保保険(限度額8,000万円)に係る保証など。
 

<その他>

原則として、本制度を適用する個別の保証制度等の取扱いに準じる。
(*1) 原則、決算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰り表等も含む。
(*2) 「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。
(*3) 「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除く。
(*4) 経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度等については、本制度によらず、引き続き従前の取扱いが可能。

2.事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度(国補助制度)について
前記1.の横断的制度の活用を一気に加速していくため、当初3年間(2027年3月末まで)の時限措置として、上乗せされる保証料率の一部を国が補助する信用保証制度を創設します。
●事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度の概要●
<要件>

前記1.の事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の要件と同じ。
 

<保証限度額>

 8,000万円
セーフティネット保証(4号・5号)の場合は、別枠で8,000万円

 

<保証期間>

(1)一括返済の場合:1年以内
(2)分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)

 

<保証料率>

前記1.の事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の保証料率と同じ。
 

<保証料補助>    
保証申込日に応じて、次の補助率に相当する額を国が補助します。

・2024年3月15日~2025年3月31日の保証申込分
  補助率 0.15%
・2025年4月1日~2026年3月31日の保証申込分
  補助率 0.10%
・2026年4月1日~2027年3月31日保証申込分
  補助率 0.05%

 

<保証人>

不要
 

<取扱期間>

2027年3月31日まで
 

3.プロパー融資借換特別保証制度について
経営者保証を求めない取組による信用収縮を防止し、民間金融機関における取組浸透を促すために、例外的に、既往のプロパー融資(*)(経営者保証あり)から信用保証付き融資(経営者保証なし)への借換を認める保証制度を時限的に創設します。
(*) 信用保証協会の保証を付さない融資のこと

●プロパー融資借換特別保証制度の概要●
<要件>    
以下の全ての要件を充足する法人
① 資産超過であること
② EBITDA有利子負債倍率(*1)が15倍以内であること
③ 法人・個人の分離がなされていること
④ 申込日(*2)において返済緩和している借入金がないこと

(*1) EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
(*2) 危機関連保証又はSN保証4号(新型コロナ)の指定期間内の場合は、指定期間の始期の前日でも差し支えない。

<対象資金>

借換資金(プロパー融資のうち、経営者保証を提供している事業資金の借換えに限る。)
 

<保証限度額>

保証限度額:2億8,000万円(組合等4億8,000万円)
申込金融機関における保証限度額は、プロパー融資のうち、経営者保証を提供していない残高の範囲内。

 

<保証期間>

(1)一括返済の場合:1年以内
(2)分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)

 

<保証料率>

0.45%~1.90%
 

<保証人>

不要
 

<取扱期間>

2027年3月31日まで
 

<その他>    
申込金融機関において、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
(1)経営者保証を不要とし、かつ、保全のないプロパー融資を実行すること
(2)経営者保証を提供している既往のプロパー融資(本制度による返済部分を除く。)の全部又は一部について経営者保証を解除し、かつ、解除したプロパー融資については保全がないこと

<お問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部 金融課 神崎
担当者:来島、青木、古川
電話:03-3501-1511(内線5271)
FAX:03-3501-6861

 

経営者保証を外す動きがどんどん加速していますね。

金融機関のスタンスは濃淡あると思いますが、思ったよりは簡単に外せるのではないかと思います。

我々公認会計士・税理士・社外CFOも腕の見せ所ですね。

 

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