日本企業の約半数が「同族企業」 でその事業承継に潜むリスクと失敗パターン! | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

香川県高松市で会計事務所(税理士・会計士)をやっている公認会計士・税理士です。●棚卸●事業承継●M&A・組織再編●贈与・相続のコンサルティングをしています。会計・税務に関することなら、お気軽にお問い合わせください。

日刊ゲンダイによると、企業の後継者不足が深刻です。

近年は、大企業にかかわらず中小企業の事業承継も増え、家族間のトラブルも起きています。

「いきなり事業承継」(講談社)の著者で、税理士法人小形会計事務所所長の小形剛央氏は、公認会計士・税理士として中小企業の税務顧問や事業承継のコンサルティングを行っていますが、実際、後継者の能力やマインドが不十分なまま事業承継した結果、短期間で従業員や取引先が離れてしまい、数年で廃業に追い込まれたという会社をたくさん見てきたそうです。

失敗パターンとして多いのが「同族経営」のケースです。

 

日本の上場企業は、ファミリービジネス(同族経営)が53%、単独経営が10%、一般企業が37%という構成で成り立っています。

たしかにお子さんである後継者は、小さいときから経営者としての親の背中を見て育ってきています。

そのため、経営の細かい内実はわからないにせよ、従業員や取引先を大切にする気持ちや、経営者としての責任感などを体感として学び、持ち合わせているものです。

 

ところが中小企業や零細企業の場合、「家族だから」という盲目的な信頼によって、経営能力がない我が子を後継者に据え、失敗してしまう例が非常に多いのです。

 

創業から50年近く経つ産廃関連会社(売上約5億円)のケースです。

ニッチな分野ではありますが、クライアントや従業員からも信頼されており、着実な経営を続けていました。

仕事一筋だった先代経営者は、「これからは家族のために何かしてあげたい」という気持ちを強く抱き、自身が80歳に近づいたタイミングで娘(43歳)に会社を継がせることにしました。

しかし、娘にはリーダーシップがなく、目先の利益を優先して行動するタイプで、承継後まもなく経営に致命的な損害を与え、1年も経たずに事業は廃止となりました。

その後、先代経営者も心労から持病が悪化し、お亡くなりになったのです。

 

また、建設業(リフォーム=売上約3億円)の65歳の先代経営者は、息子(35歳)を後継者にすることを決めていたものの、「年齢的には、まだまだ現役としていけるだろう」と考えていました。

しかし、引き継ぐ前に先代経営者が急死したことで事態は一変します。

後継者である息子も、引き継ぐのはまだまだ先のことと考えていて、心の準備もできていなかったのです。

もちろん後継者に経営の知識や経験はほとんどなく、それどころか、「経営者になったら経費を使いたい放題だ」くらいの考えしか持っておらず、非常に危険な状態でした。

結局、バタバタと承継したものの、その後すぐに従業員の退職が相次ぎ、取引先は離れていき……と、わずか1年足らずで廃業寸前まで追い込まれてしまったのです。

 

何の準備を何もしないまま「親族」という理由だけで後継者を選ぶと、ほぼ確実に会社が立ち行かなくなってしまいます。

先代経営者は、自分の子どものことだとフィルターがかかって正しい判断を下しにくくなるため、後継者候補を選定する段階で第三者の意見を聞くことが大切です。

また、経営者には「元気だからこそ、今のうちに準備を進めよう」という意識が必要です。

高齢になるほど、突然死のリスクは高まります。

急死すると同時に資金繰りがショートするという事例も、決して少なくありません。

突然死でなくとも、ケガや病気で入院せざるを得なくなったり、それまでのように働けなくなったりという恐れもあります。

 

結局、事業承継は、計画(事業承継計画)を作って、できるだけ早く取り組みましょうということだと思います。

お子様に引き継ぐことがベストだと限りませんし、お子様が引き継がないかもしれませんし、一般的に、事業承継は5年から10年かかると言われていますので、年齢的な問題や突然死のリスクを考えると、早く取り掛かることに越したことはありません。

何を誰に相談すればいいのかわからないかもしれませんが、事業承継の相談を行っている士業、金融機関、公的機関などはたくさんありますので、相談しやすいところに相談してみればいかがでしょうか?

 

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