中小企業庁は「経営者保証」をつけない融資を金融機関に促す仕組みを導入するようです。
企業の稼ぐ力や有利子負債の返済能力など具体的な数値基準を設け、経営者保証がなくても融資できるかどうかの判断材料にします。
企業にとっても融資を受けられる条件が分かりやすくなります。
事業再生やスタートアップの成長を阻んでいた融資慣行の見直しが進みます。
経営者保証は個人保証とも呼ばれ、高度成長期に確立されました。
金融機関から受けた融資の返済が滞ったときに、会社が持っている資産と個人の財産を一体で支払う仕組みで、銀行には安心して融資できる面がありました。
一方で経営者は銀行からお金を借りて起業することをためらったり、事業を拡大する意欲を失ったりするとの指摘も多くなっています。
金融庁は2023年4月から金融機関に対し、経営者個人が信用保証を負う場合、具体的な理由を説明するよう義務付け、事実上制限することを決めました。
今回の中小企業庁の仕組みは、その一環となります。
中小企業庁は、先日の有識者会議で詳細を公表し、2022年4月から導入します。
現在のガイドラインには経営者保証をつけない融資を受けるための要件として、①法人・個人の分離②財務基盤の強化③経営の透明性確保の3つがあります。
新たにそれぞれに具体的なチェック項目を策定します。
例えば、財務基盤の強化では、「(有利子負債がキャッシュフローの何倍あるかを示す)EBITDA有利子負債倍率が15倍以内」「減価償却前の経常損益が2期連続赤字でない」といった目安を設けます。
経営の透明性確保については「経営者は日々、現預金の出入りを管理する。終業時に金庫やレジの現金と記帳残高を一致させるなど収支を確認する」といった趣旨の具体例を示します。
新たなルールは強制ではなく、金融機関が使うかどうかは任意となります。
ただし、これまでは経営者保証をつけるかどうかの交渉で金融機関ごとに基準が異なっていたり、基準がなかったりしました。
経営者はどのような点をどのくらい改善すれば、経営者保証をつけずに済むかわかりにくい状況でした。
経営者保証をつけない中小企業向け融資件数は全体の約3割にとどまっています。
金融庁は現状の経営者保証について「合理的な理由がなく不必要に経営者保証を付けている例が多い」と指摘しています。
今回、中小企業庁が数値基準などを導入することで、経営者保証を巡る金融機関と企業の交渉の透明性が増します。
銀行側は財務面だけでなく、アイデアを評価して融資するなどリスクを取る姿勢に転換できるかが今後の焦点となります。
中小企業庁は中小企業の収益力改善やガバナンス体制を整備するための実務指針案も示します。
金融機関や税理士、中小企業診断士向けで指針を活用してもらうように促します。
本来、金融機関は、事業性を評価して融資を行うべきでしょうから、経営者にとって良いことだと思います。
一方で、経営者保証は経営者の責任感を保つ一因となっているのも事実だと思いますので、悪用しようと経営者を防ぐ必要もあるんでしょうね。
事業承継のネックになったりもしますので、日本経済の発展のためにも経営者保証とか担保の提供は、本当になくしてほしいですね。
中小企業庁は数値基準を導入し経営者保証ない融資を促すことについて、どう思われましたか?