三菱ケミカル・セイコー・コナミなど社名変更で「グループ」がはやる理由は? | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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M&A Onlineによると、上場企業の社名変更でこのところ、「グループ」を冠するケースが広がっているようです。

持ち株会社を意味する「ホールディングス」をわざわざ社名から外し、「グループ」に改める動きが目立つほか、新しく持ち株会社に移行する際も「ホールディングス」を使わずに「グループ」を選ぶことが多くなっているようです。

 

三菱ケミカルホールディングス(HD)は、先日、7月1日付で「三菱ケミカルグループ」に社名を変更すると発表しました。

同社は「One Company, One Team」を掲げ、フラットな組織体制への移行を進めています。

これまで通り持ち株会社制は維持しますが、グループが一体となって戦略を遂行する新組織体制を表すため、社名を改めます。

 

三菱ケミカルHDとして2005年に三菱化学と三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)の経営統合に伴い発足して以来17年ぶりの社名変更です。

同社は2021年4月、外部招聘したジョンマーク・ギルソン社長が誕生し、初の外国人トップのもとで、事業構成の変革(ポートフォリオDX)などを推進中です。

 

持ち株会社のまま、社名のホールディングスをグループに取り換えるのは三菱ケミカルHDだけではありません。

新年度入りした4月以降、セイコーホールディングス、コナミホールディングスも同様の社名変更を発表しました。

社名変更はセイコーHD(10月1日付)は15年ぶり、コナミHD(7月1日付)が7年ぶりで、いずれもグループとしての一体性を高め、司令塔としての役割を明確に打ち出す狙いが込められています。

セイコーHDは「経営環境は急激に変化しており、グループの総合力を強化・発展させる体制構築が急務になっている」とし、各事業の経営管理を主体とした従来型の持ち株会社制からの転換を図る考えです。

 

実際、ここ数年、社名にグループを採用するケースは増えています。

ソニーは2021年4月に持ち株会社に移行した際、「ソニーグループ」に名前を変えました。

グループの本社機能に特化するのが狙いで、持ち株会社のソニーグループの傘下にエレクトロニクス、ゲーム、音楽、映画、音楽などの事業会社を配置しました。

ソニーの名前は祖業であるエレクトロニクス事業を担う子会社が引き継ぎました。

 

楽天も2021年4月、「楽天グループ」に変更しました。

同社の場合、持ち株会社化に伴う社名変更ではありませんが、複合企業化したグループを束ねる司令塔としての位置づけを明確にするのが眼目でした。

EC(電子商取引)事業はもとより、金融、通信、プロスポーツへと“楽天経済圏”は拡大の一途をたどっています。

 

電通が「電通グループ」に社名変更したのは2020年1月です。

国内事業を切り出し、持ち株会社の下に国内事業と海外事業会社を配置しました。

その際、重視したのが「チーミング(teaming)」の概念で、一般的な持ち株会社のイメージと一線を画します。

電通の幹部は「グローバル・デジタル化が進む多様性の時代に価値創造できる『チーム』作りを企業グループ全体で推進していく考え方」と説明しています。

 

もっとも、持ち株会社化への移行にあたっては「ホールディングス」の採用が主流であることは変わりません。

パナソニックは2022年4月にパナソニックホールディングスを発足したばかりです。

 

上場企業に限らず、香川県でも、『●●ホールディングス』という社名を目にしたりしますが、個人的には、昔から、『ホールディングス』という社名には違和感を感じていました。

純粋に株式を保有するのであればバチっと当てはまるのかもしれませんが、グループの司令塔としての立場も持っているのであれば、『●●グループ』の方がしっくりきますね。

グループの企業に所属する方も、『●●ホールディングス』だと、その下にぶらさがっている企業という意識、『●●グループ』であれば、『●●グループ』の一員という意識になるのではないかと思います。

職業柄、僕なんかは、『●●ホールディングス』という社名を目にすると、節税目的でも持ち株会社化しているのかなぁと邪推してしまいますが(笑)。

 

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