市場再編直前の2022年1月から3月に「東証上場」を廃止した企業! | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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M&A Onlineによると、2022年も第1コーナーを終えましたが、1~3月に東証上場を廃止した企業は25社を数えます。

これまでの1部、2部、ジャスダック、マザーズという市場区分を再編する約60年ぶりの歴史的な東証改革のスタートを前に、株式市場から「退場」しました。

 

道路舗装最大手のNIPPOは2022年3月28日に東証での最後の取引を終え、翌29日付で上場廃止となりました。

1949年以来73年に及ぶ東証1部上場にピリオドを打ったのです。

 

NIPPOの親会社は石油元売り最大手のENEOSホールディングスです。

2021年秋、アメリカ金融大手ゴールドマン・サックス(GS)と組んで、NIPPOの非公開化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施しました。

親子上場を解消し、株式売却で得られた資金を脱炭素化に向けた成長分野への投資に充てるのがENEOSの狙いでした。

 

道路舗装をめぐっては公共工事の減少で市場が縮小に向かっています。

NIPPOはGSの主導で海外事業、不動産開発事業を中心に成長戦略を推し進め、将来の再上場を目指すとみられます。

 

青森銀行、みちのく銀行は4月1日に経営統合で持ち株会社「プロクレアホールディングス」をスタートしました。

持ち株会社が上場するのに伴い、青森、みちのくの両行は3月30日に上場廃止となりました。

 

スーパー業界ではイオン系のマックスバリュ西日本が同業のフジとの経営統合で2月末に、東証2部への上場が廃止となっています。

 

上場廃止の理由はさまざまですが、最も多いのが親子上場の解消で、次いで創業家ら経営陣による買収(MBO)、経営統合、投資ファンド・同業他社による友好的な買収、業績悪化で上場基準を満たせなくなった場合などがあります。

経営破綻のケースはまれです。

 

2022年1~3月期に東証上場廃止の25社の場合はどうでしょうか?

4割以上にあたる11社が親子上場の解消、つまり、親会社による完全子会社化です。

 

例えば、三井金属鉱業は三井金属エンジニアリング(東証2部)、品川リフラクトリーズはイソライト工業(東証1部)、ナカバヤシは国際チャート(ジャスダック)、凸版印刷はトッパン・フォームズ(東証1部)を完全子会社化しました。

 

MBOによる非公開化は4社でした。

鴨川グランドホテルは国内投資ファンドの日本産業推進機構(東京都港区)の傘下入りに伴い、3月上旬、ジャスダック上場を廃止しました。

鴨川グランドホテルはファンドの支援を得て、従来の経営陣が主体となった再建を進めます。

 

東証1部で紳士服・婦人用スーツのオンリーも1月半ば、株式市場から退場しました。

創業者で筆頭株主の中西浩一取締役相談役らの意向によります。

ビジネスウエアのカジュアル化でスーツ需要が減っていたうえ、コロナ禍によるテレワーク導入などで市場がさらに縮小する中、中長期的な観点から経営改革を進めるには非公開化が必要だと判断しました。

 

不祥事による退場も1社ありました。

マニュアル制作のグレイステクノロジーは架空売り上げの計上など粉飾問題で2月末に東証1部上場の廃止に追い込まれました。

 

ちなみに、東証は4月4日に大企業向け「プライム」、中堅企業向け「スタンダード」、新興企業向け「グロース」の3市場に再編されました。

1961年に「2部」を開設して以来の約60年ぶりの大改革で、各市場の位置づけを明確にし、国内外からの投資を呼び込むことを狙いとしています。

 

投資家としては、上場廃止は避けて欲しいですよね。

スクイーズアウトされたり、株式交換でまったく違う業種の株になったりしますから。

ちなみに、僕は以前、四国コカ・コーラボトリングの株を持っていて、株主優待でコカ・コーラなどをもらうのをすごく楽しみにしていましたが、株式交換で日本製紙の株になり、今ではトイレットペーパーなどになってしまいましたから(笑)。

親子上場は疑問を持っていますので解消はいいことだと思いますが、再上場をする企業もありますが、上場する以上、安易に非上場化することなどさけて欲しいと思います。

 

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