「家賃保証」アパート経営の減額リスクの説明が義務化! | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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 「全室を一括で借り上げる」「家賃は保証する」と業者から誘われ、借金までしてアパートを建てたものの、数年後に家賃を減額されたという苦情が相次いでいることから、国土交通省は「将来は家賃が減る可能性がある」との説明を賃貸住宅管理業者に義務づける制度改正を決めました。
 金融緩和を背景に、今後も相続税対策などからアパート経営に乗り出す人は増えるとみられ、トラブル防止を目的に規制を強化します。

 土地の所有者が建てたアパートなどを業者が一括で借り上げ、入居者に貸し出す「サブリース」と呼ばれる契約が対象です。
 入居者集めや管理は業者が行い、空室に関係なく毎月一定の家賃を支払います。
 不動産取引では通常、業者に様々なリスクの説明を法律で義務づけていますが、サブリースはその対象にならないようです。
 個人の大家も不動産事業者で、対等な業者間の取引とみなされるため、消費者並みの保護の仕組みはありませんでした。

 しかしながら、近年は、個人の大家を中心に「契約時に『30年一括借り上げ』『何もせずに安定した家賃収入』などと言われたのに途中で強引に減額された」「業者から契約解除を要求された」などの苦情が急増しており、日本住宅性能検査協会には過去5年間に477件の相談があったようです。

 そこで国土交通省は、国土交通省の登録制度に参加する3,735社に対するルールを改正し、9月から施行します。
 これまでは、将来的な家賃減額などのリスクを説明する義務は明示されていませんでした。
 これを契約時に口頭や書面で行うように明記します。
 20187月からは違反業者を公表します。
 国土交通省幹部は「大家が『契約時に聞いていなかった』というトラブルは減る」と話しているようです。

 ただし、この問題に詳しい弁護士は「説明の義務化は一歩前進だが、プロではない多くの人が大家となっているのが実情なので、より強く規制する法律が必要だ」と指摘しているようです。

 国土交通省によると、2015年の新築賃貸住宅は378,718戸で、前年比4.6%増と4年連続で増加しています。
 近年の金融緩和で、大家の資金調達が簡単になったことが背景にあります。
 また、遊休地にアパートを建てれば相続税の節税にもなるため、2015年1月の相続増税後は建設に拍車が掛かっています。

 一方、全国に820万戸(2013年)ある空き家のうち賃貸住宅は429万戸と半数以上だそうです。
 国土交通省幹部は「需要に見合わないアパート建設が空き家の増加につながっている」と指摘しています。

 説明の義務がなかったのも驚きですし、ルールを作っても、『口頭や書面』というのも気になりますね。
 なぜ、書面による明記を義務付けないのでしょうか?
 僕のところにも、2015年1月からの相続税増税をきっかけに、時々、アパート経営の相談に来られる方がおられます。
 また、近所でも、おそらく相続税対策と思われるアパートが建てられているのをしばしば目にします。
 僕自身は、確かに相続税は安くなるかもしれませんが、相続税のことだけを考えるのではなく、まずはアパートの経営として成り立つのであれば、やってみることを検討してはいかがですか、と常々言っています。
 一括借り上げとか家賃保証についても、ずっと同じ金額ではなく、数年後には下がると思っていた方が良いですし、シミュレーションに記載されている家賃の推移は常識的に考えても下げ幅が低すぎますよとか、減額の話があった時に、先方指定業者によるリフォームの話しもされ、断ると一括借り上げとか家賃保証が打ち切れて、借りている人がみんな出ていくという噂も聞いたりしますよ、とも言っています。
 目先の相続税の節税だけに走らず、将来的なアパート経営も考えた上で、相続税対策のアパート建設をしましょうね。

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