M&A・組織再編って何だか分からない人のための基礎知識②(株式譲渡) | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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 皆さんは、『株式譲渡』はぼんやりとしたイメージは持っていらしゃるのではないでしょうか?


 『株式譲渡』は、売り手が買い手に、既存の発行済株式を譲渡することをいいます。

 M&A・組織再編上使われる『株式譲渡』は、売り手から買い手に、会社の経営権を譲ることをいいます。


 メリットとしては、例えば、以下のようなことが挙げられます。


  ①手続きが簡単。

  ②『株式譲渡』の対象となる会社は、組織的に変わらないため、会社経営上の問題は少ない。

  ③売り手に資金が入り、株式譲渡益が生じる(ただし、場合によっては株式譲渡損失が発生する)。

   売り手が個人の場合、対象会社が上場会社だと譲渡益に対し10%、非上場会社だと20%であり、

   比較的税率は低い。

  ④売り手が個人の場合、株式譲渡益と損は通算(益から損を引くこと)できる。


 ①ですが、極端な話し、株式を売買すれば良いだけなので、手続きは簡単です。


 ②ですが、役員は当然変更になるかと思いますが、①のとおり、株式を売買するだけなので、対象会社の組織そのものには特に変更はありません。


 ③売買価格が入金になり、売買価格から取得価格を引いたものが株式譲渡益となります。


 ④売り手が個人で、株式譲渡益が発生した場合、含み損のある他の株式を譲渡して損失を実現し、両者を通算することにより、節税が可能です。逆のケースの同じです。

  

 一方、デメリットもありますが、例えば、以下のようなことが挙げられます。

 

  ①買い手に資金が必要である。

  ②簿外債務を引き継いでしまう可能性がある。

  ③不要な事業等まで引き継がないといけない可能性がある。

  ④売り手の株式譲渡益に対し、税金がかかる。

  ⑤売買価格が適正でない場合、売り手に寄附金などが生じたり、買い手に受贈益などが生じたりする。


 ①ですが、当然買うための資金が必要となります。


 ②ですが、例えば、連帯保証を行なっていたが買収後保証の必要が生じたり、、訴訟をかかえており、買収後敗訴し多額の賠償金を支払うことになったなど、後日偶発的な債務が実現したり、隠していた借入金などに買収後気づく可能性があります。

 このようなことを把握し、対策を練るためにも、買収前に財務デューデリジェンス(会社の資産、負債、損益、税金などを調査し、信頼できるものなのかどうかを調査すること。)などを行うのが良いでしょう。

 

 ③ですが、買収前に売却してもらったりしますが、何もしなければ、例えば、儲かっている事業と儲かっていない事業があり、本当に欲しいのは儲かっている事業だけなのに、会社を買うので、儲からない事業もついてきます。また、社長等が個人的に使っている財産、例えば、マンション、車もついてきます。


 ④株式譲渡益に対し、当然に税金は発生します。


 ⑤全く関係ない間での株式の売買は合意した価格で売買を行えば税務上問題はありませんが、親族等である場合、税務上の時価は決まっています。これとかけ離れた価格で売買すると、売買価格が適正でない場合、売り手に寄附金などが生じたり、買い手に受贈益などが生じたりします。


 少しはぼんやりしていたイメージがすっきりしましたか?