The Story of Ver Fallen

The Story of Ver Fallen

この世の人生舞台に想いを吸い取られ、夢中になり没入して生きる「フェア・ファレン」という名の男の物語。

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BGM:21 Guns/Green Day



―未だに、彼は彷徨い続けていた。



自分という存在が、自分の人生がこの世に存在していたという事を確かに保証しうる、「何か」を求めて…。



これまでもフラフラと地面を踏み続けてきた。



「必ず、必ずどこかにある」



この「信念」という名の勝手な期待だけが、フェア・ファレンの足を動かしてきた。



どこにある?



自分の探しているものはどこにある?



どこに…。



もっと…もっと遠くへ…。



どれだけ探し回っても、「それ」が目の前に現れてくれる事はなかった。



とにかく、自分の目で確認する事だけを欲していた。



…目に映る世の中はあくまでも冷酷だった。



一人また、次の手を必死に紡ぎ出す。



これまでも幾度となく繰り返してきた、もはやルーティーン。



「次の手」は、今や冬に色付く紅葉ほどしか残されていない。



残されたものから無理矢理絞り出し、紡ぎ出す事が何よりも苦痛だった。



しかしその僅かな希望に賭ける心が、彼の足をまた深い森の奥に向かわせていた。



当の本人は、周囲の景色の変化に気付いてはいない。



うつろで霞んだ、ギラギラしたその目。



その先には、求めるもの以外の何も捉えてはいない。



―幾程の時間が経っただろうか。



木々の間から突如微(かす)かに、しかし確かに聞こえる呟き。



「…この武装だらけの世の中の下に眠っているのかもしれない」



森の外へフラフラと踏み出してゆく足跡。



街に着くと、文明世界への帰還を喜ぶ周囲の声。



しかし、当然彼の耳にそれは入っては来ない。



行動や思想の全てが負の感情で構成されている有機体に、「喜び」という正の感情など、つけ入る隙など存在し得ない。



彼の目は朧ろに、しかし真っ直ぐに文明社会の中に散らばる武装要塞を捉えていた。



期待で身体が踊り出すのを必死に抑えながら、おもむろにマッチを取り出す。



そして、目の前にある自分の家に火を点けた。



徐々に大きくなる炎。



そして、心の中の高揚。



「人生…俺の人生…この瞬間…この瞬間のために…」



いろんな物質が焼けていく匂い。



「この化学変化の後に、出てくるものは何なのだろう…」



武装が焼けただれてゆく匂いに恍惚を感じながらそのような想像をするにつけ、体中に血が勢いよく廻ってゆく。



その感覚に陶酔しているさなか、炎の中からこちらへ向かってくる存在。



この自分を産んだ、二人。



そして、この世でたった一人、「兄弟」という肩書を共有できる存在。



その姿は、確かに彼の目に映りこんでいた。



そしてその悲痛な叫びを耳ではなく、血で感じ取ったとき、突如として青ざめた。



しかし、もはや時すでに遅し。



目の前で炎が家全体を包んでゆく瞬間が、冷たく視界に入りこんだ。



その現実を直視できず、初めて足元に目をやる。



分かっていた―分かっていたつもりだった事が、現実の感触となって押し寄せる。



自分が歩いてゆくためには、自分が踏みしめる部分の地面だけが存在すればいい。



―その周りの地面が存在するからこそ、自分が今踏みしめている「ここ」がある…。



自分が求めているものを捉えるものは、目ではなく心―



目の前の欲望を追うために遠くを目指すほど、周りの地面が崩れ落ちていっていた事に気付いたその時、既に心は無機質な石となって粉々に壊れ果てていた。



もう、苦しみながら「次の手」を紡ぎ出す必要はなくなった。



―もう、紡ぎ出す事はできない。



破滅の中、彼はフラフラとした足取りで、目の前で燃え盛る炎に極限まで近寄り、完全に鎮火するまでその場を動かなかった。



その姿は、人も音さえも存在しない道端の中、たったひとつ転がる石に許しを乞う偽善者と何ら変わりはなかったという。



BGM:Boulevard of Broken Dreams/Green Day



空だけが、ただただ澄み渡っていた。



冷たい風が、無表情で肌を刺す。



その風にみるみる身体が削り取られていくような感覚に、フェア・ファレンの心もまた蝕まれていた。



「さあ、砂になれ。」



…何処かの公園で、創り出されては壊されていく砂城の一部になるのか。



それとも何処かの海岸で、いつかは波に消し去られるよう運命付けられた小蟹の巣の一部になるのか。



我が身のゆく末は分からない。



でも、その場所で立派に役割を遂行してみせる。



―投げ遣りな心の中にも、まだそんな意地だけは残されていた。



組み立てられては、また壊されていく。



…その螺旋にやり切れなさを感じ、足下を見つめる彼はまだ気付かない。



澄み渡る空から見れば、彼の身体自体が、一粒の砂、



しかも、風に流される事なく、自らの意志で行き場所を選ぶことができる砂だという事に。



BGM:ズラチナルーカ/スキマスイッチ



流れてく 僕ら過ごした時間(とき)

慌ただしく散り去る傘模様

響きだした空の悲鳴

光が舞った 街が沈む…



…依然、彼は怯えながら生活をしている。



人に、空に、そして自分の運命に。



彼は実に賢(さか)しかった。



万事がうまく運ばれている時は己の力を誇示し、



一方で事がうまく運ばれない時には、「自らの運命」とやらを恨むのが常套手段だった。



しかし今の彼は、そのいずれかの行動を取るでもなく、一寸先も見えない鬱蒼とした森にただ立ち尽くしている。



「少し考えているだけ」



―そううそぶく表情は苦しい。



自らの圧倒的力不足を目の前にして身動きが取れなくなっているのは、誰の目から見ても明らかだ。



もはや「運命」などという都合のいい言葉でごまかせはしない―



もっとも、彼自身が一番理解している事だが。



いろいろな事が頭をよぎる。



―これまでいろんな「気付き」があった。



これまでいろんな事ができるようになった。



自分自身の課題だって、ひとつずつだが解決している。



…なのに何だ?この虚無感は。



ふと見渡してみれば、辺りは一面森、森、森。



立ち止まって考えていた間に、鬱蒼とした木に囲まれている。



陽も見えない…暗い…怖い。



いつの間にこんなに臆病になっていたのだろう。



―こんな事を考えながら、彼は気が狂ったように泣き叫び続けた。



しかし、助けに来る者はいない。



もう、もはや何でも良かった。



彼は無我夢中で、辺りの木を片っ端から切り倒していった。



目は剥き出しになり、手の爪からは血が滴り落ちていた。



その場ではプライドなど無価値だった。



「とにかくこの状況を抜け出したい」



―その一心が、彼をその行動に駆り立てていた。



もはや血か涙かも分からぬ液体が彼の目に流れ込んだその時だった。



空に雷鳴が響いた。



空から落ちた雷(いかずち)の炎がみるみるうちに燃え広がり、辺りの木を全て焼き払っていった。



…どれだけの時が経っただろうか。



雷雨がいきり立つ火柱の全てを消し去っていった後には、剥き出しの荒野に佇む一人の男の姿があった。



ただ呆然と、呆然と立ち尽くしていた。



その時、遠い地平線の彼方で何か黒い影が動くのを彼の目が捉えた。



確かに、いる。



立ち止まっていた間にできていた、自分と他者を隔てる壁が全て破壊された後に、彼の目は確かに捉えていた。



あの雷(いかずち)が「運命」だったのかどうかなんてもうどうでもいい。



彼は、確かに自分の足で、地平線の彼方に向かって歩き出していた。



今の自分自身にない何かを求めて―




ありったけ強く抱いた祈り

見上げれば雲を裂く箱舟

動き出した空の向こう

雨が上がった 空が微笑(わら)う



BGM:Inconsolable/Backstreet Boys



「そんな事はない!」



突如として声を荒げた小さな小さな有機体。



それはそれは、滑稽な程に必死の表情だった。



心の奥底に隠していた「不安」という感情を爆発させた彼の、煙草を持つ手は小刻みに震えていた。



努めて、彼は努めて、感情を押し殺すように話した。



複雑な気持ちが、外から見ても分かる。



彼の心の中では、自身に対する虚しさと、やっと感情を吐き出す機会を与えて貰えた安堵感との間を、感情がメトロノームのように行き来していた。



そして、震える手でコーヒーの缶を置き、静かに一言放った。



「…俺、今無理してる。」



彼は葛藤に苦しんでいた。



同時に、何かアクションを起こす事を酷く嫌がっていた。



自身の立ち居振る舞いが周囲にどう映っているのか―



そんな事を考えては、ますます感情を排す事に躍起になり、ますます心を閉ざしてゆく作業のスパイラル。



とにかく、如何せんプライドが高い。



自身の行動の中に過ちを認めてもなお、強がって見せる癖がある。



虚勢を張ればそれだけ、心の中に不安は蓄積されていった。



その不安を周囲に悟られぬように吐き出す痩せた姿勢が、彼の口数だけを肥やしていった。



口から出る言葉のほとんどが不快な産物である事を自覚しながら、



同時に、自身の意に反して、起こしたくもない無駄なアクションを起こす事を繰り返しているその状況に、どうしようもないやるせなさを抱いていた。



やり場のない虚しさが、周囲に対する怒りに変わってしまう事を、必死に堰き止める。



それはもはや人間としての良心ではなく、自身の堕天を防ぐ欲望に従った行動だった。



…そんな事を反芻し終えたフェア・ファレンは、ある事に気付いた。



「心の変化に従って変えてきた行動の全ては、腹の中に還るための作業だった…」



彼が「前進」だと信じてとってきた行動は全て、実は「後退」だった。



―「僕は公演の舞台を降りる。裏で行動して示したい。」



「…嘘だ。本当は周囲から評価されるのが怖いんだろう?」



「違うさ。僕はただ…周囲に誤解されるのが嫌なだけさ。」



「滅。俺には全て分かるよ。誤解?笑わせちゃあいけないよ。
 いつも“評価は人が決めるもの”って言っているのは誰さ?
 お前はただ、これ以上のボロが出る事を怖れているだけだよ」



「違うって言ってるだろ!」



「お前はまた居心地のいい殻に籠り始めているだけさ。
 誤解が嫌ならばされないような話術を身に付ければいいだろう。
 誤解されるのが嫌だから公演舞台を降りる?
 何を言っている。誤解されるのが嫌ならさせるな。
 それをしようとしない奴が云々語るんじゃないよ」



「ぐ……」



心の中でこんな対話をしながら帰路に着いた彼の頬は濡れていた。



すれ違う人びとが見たその横顔は、漆黒の冬空を見上げながら微笑んでいたという。






Thanks for “Isobe”.





BGM:ワンダーライン/YUKI



「こうやって過ごせるのも、今年が最後になるかもしれないね」



男の連れは、ふとこんな言葉を口にした。



一寸先も知れぬ人間の身体。



1年先の保証など、当然ない。



だからこそ、この「今」を大切に。



一瞬を大切に。



あの時の彼との触れ合いが、今の自分の糧になっていて、



あの時の彼との触れ合いによってできた今の自分が、この先を生きていく。



「一寸先も分からない」って言っているくせに、



弱くて、いつも何かに依存しているこの男は、



藁にもすがる想いで「この先」がある事を望んでいる。



「こんな目標がある」



「こんな事をしてみたい」



こんな発言の隠れた枕詞はいつでも「この先」。



これからも、切に求め続けるのだろう。



だからこそ、この「今」を大切に。



一瞬を大切に。



そして、「今」に繋がるすべての「あの時」を大切に。



「この先」を全力で生きる準備はできている。



全ての繋がりに、ありがとう。


BGM:¿Viva La Gloria?/Green Day



翼を持つ者がいれば、それを羨む者がいる。



「もしも自分が翼を持っていたら…」



…もしも翼を持っていたら?



その翼が、自分と他人を区別する指標にでもなるのだろうか。



「あなたとは違うんです」―



…何に、「自分」を求める?



翼のような、先天的なものに回帰するのか、



それとも、一寸先も知れぬ後の世に突き進むのか―



少なくとも、この男はそのどちらにも依存している。



彼はあいにく翼など持ち合わせてはいない。



でも、「フェア・ファレン」というこの名と、この身体を授けられた。



そして、この名前と身体で社会的な繋がりを得、生活を営んでいる。



今属している様々なコミュニティ、



その中で価値観を重ね合わせてきた様々な人間たち、



その影響の下、リアルタイムで更新され続ける価値観、世界観―



多くの人間たちのエキスが、世界にひとつしかない触媒で吟醸されていく。



その触媒さえも、この瞬間もまた絶えず変化している。



……この事実だけで充分。



明日はどんな化学変化が起こるのか。



彼が胸の高鳴りを必死に抑えているこの瞬間にも、吟醸は進んでいく。




BGM:Peacemaker/Green Day



明けましておめでとうございます。



新年を迎えた事を機に、一念発起してブログを開設してみました!



自分の興味があるテーマに関して、思ったことを思ったままに文章にしていきたいと思います。



社会学や哲学といったテーマが中心になってくると思いますが、その他にもいろんなテーマを扱っていきたいと思っています。



ジャーナリストもやっているので、取材内容なんかもアップしていければと考えています。



どうぞよろしくお願い致します!



…さて、一発目は何を書きましょう。



新年を迎えた事だし、今年の行動の指針でも書いてみましょうか。



今年はズバリ、、、「感性で動く」!



今年は大学生になって3年目に入ります。



1年生の時が、「経験値」という意味では圧倒的に一番吸収していたと思います。



大学生になる前から温めていたプランを全て思うがままに実現しまくっていた当時。



「失敗して当たり前じゃ!」位に考えて行動していたから、本当に怖いものって何もなかった。



2年生になって、この時に得た自信を間違った方向に解釈していた気がする。



1年生でいろんな経験をさせてもらって、キャパが飛躍的に大きくなった事もあって、確かに心のゆとりというか、余裕という面を得ていたのは実感できていた。



「一度立ち止まって考える」ことを覚えた。



でも、それがいつしか「考えたらどうにかなる」という傲慢な“おごり”に変わっていた。



1年生の12月に、今の師匠に言われた一言。



「お前、自分の事“頭いい”と思ってるやろ?」



その時は全力で否定したけど、その当時から布石はあったのかもしれない。



その言葉を何回も反芻したけど、納得はできていなかった。



でも、昨年の12月にやっと自分の“おごり”に気付くことができた。



「考えたらどうにかなる」―いつからこんな考えをしていたのだろう。



こんな簡単な事を知るのに、ちょうど1年という時間を要した自分。



「頭いい」訳がないのに、どこかで自分の事を過大評価していた自分。



もっともっと謙虚に、何事に対してもひとつでも多くの事を吸収させてもらう事を心がけて取り組んでいこうと思う。



自分がこれまでいろんな事をやれてきたのも、絶対に自分ひとりの力によるものではないし。



自分ひとりでできる事なんかたかが知れている。



常に感謝の気持ちを忘れず、とにかく謙虚に。



この気持ちを忘れずに頑張っていこうと思います。



1年生の時の「がむしゃらさ」、



そして2年生でいろんな事を考えてきた中で、自分自身と見つめあってきた中で得た「大きな気付き」



こうやって得てきたことを踏まえて、今年また新しいスタイルで、全力で頑張っていきます。



1年生は「考えること」をしようとしなかった。



でも、失敗を恐れずにがむしゃらに突っ込む「行動力」があった。



2年生は「考えること」に固執し過ぎた。



でも、立ち止まった時間でいろんな人とがっぷり四つで意見を交わせて視野がグッと広がったし、何よりもそれまで知らなかった「自分自身」に気付くことができた。



「考えて行動しなさい!」ってよく聞く言葉だけど、



自分の場合は「まず行動して考える」事が大切になってくる、と思います。



この事を常に頭に置いて、謙虚に、とにかく謙虚に。



毎日の一瞬一瞬で少しでも多くの事を学んで、少しでも大きく成長していこうと思います!



という事で、初エントリーでした☆



今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m