主治医と挨拶を交わすことができたのは、入院して3日目のことだった。

この頃の夫は看護師さんの付き添いはあるものの、自力で歩いてトイレに行けるようになっていた。

身体の機能に問題はないが、体に点滴管や心拍のコードが繋がっているため、毎回ナースコールは必要。

それが申し訳ないらしく、体に繋がれている点滴管や心拍のコードが取れるのを、とにかく待ち望んでいた。
(先に言うと、退院する直前までコードが取れることは無かったのですが)

初の主治医との面談は、私、夫、義兄の3人が参加することに。

今どんな状態なのか…
今後どうなるのか…

先生は、朗らかな雰囲気のかただった。
早速脳の画像を映して説明開始。

・今回は高血圧による脳出血
・左脳なので言語に影響が出ている
・今のところ出血の広がりは確認できない
・今後は血圧コントロールと、リハビリが主

改めて、本当に運が良かった。
今まで積み重ねた少ない徳を、全部使い果たしたように思う。

何度か説明確認として署名が必要だったのを、夫が自分で書くと言い、いつものと変わらず書けたのを見てひと安心。

実は私はここで、先生に大事な確認があった。

それは3週間後に控えている長野旅行。これはキャンセル必至だよなと思いつつ、確認待ちにしていた。

「先生、実は3週間後に長野へ新幹線で行く予定があるのですが、難しいですよね…?」

(いや、絶対ダメだよなぁ)

「ん、長野? うーん、別に問題ないんじゃないですかね。また来週詳しく検査しますが、それで問題なければ来週末には退院できますし、大丈夫だと思いますよ」

えー!?ポーン

ええー!?ポーン

まさかのOK!?

予想外の返答に驚きつつ、夫を見ると、とても安心したようだった。

この3日間、今の状態も、先のことも、よくわからないまま過ごしていたので、ようやく安心できた瞬間だったのかもしれない。