#ベトナムビジネスは注意が必要
こんにちは、4年ぶりに日本で誕生日を迎え、晴れて還暦入りした中島でございます。
とうとう、60歳の還暦になりました~!
こんな私が60歳を迎えるなんて、嬉しいというよりは、少しだけ感慨深げです。
まぁ、仕事上での課題は山積なので、もう少しだけ頑張ります。
そういいながら、死ぬまで走り続けるんだろうなぁ~。

さて、前回のブログで、さわり程度の感じですが、ベトナムで生活するうえで、知っておくべきリアルについて、お書きしましたが、今日はビジネスの部分について書いていきます。
かなり長くなりますが、ベトナムで事業展開を目指す皆さんにはタメになる内容のつもりで書きました。
近年、アジアの中でNO1といってもいいくらい、強烈な経済成長を続けるベトナム。
そんなベトナムに、いやベトナムに限らず、次のビジネスチャンスを、東南アジアの国に求める企業の皆さんは少なくありません。
「現地で飲食業を展開したい」
「製造業の工場を作りたい」
「不動産投資に興味がある」
私自身も、そいう皆さんからの相談もあり、実際にハノイなどに足を運んでいただき、現地視察のアテンドなどもしています。
(もちろん無料です)
でも、海外で事業を展開するなら、知るべきこと、やるべきことをしっかり理解していないと、結果として
「騙された」
というあるあるに陥ります。
私を信用するかしないかは別として、私が滞在しているベトナムで事業展開する場合、日本人が巻き込まれやすい「詐欺・裏切り・横領トラブル」のアラカルト(あるある)などをご紹介したいと思います。

まずはこちらから、
1. 不動産・賃貸の詐欺・トラブル
●無権限者との賃貸契約・デポジット持ち逃げ
「自分がオーナーだ」と偽る人物や又貸し業者に数ヶ月分の保証金(デポジット)を払い、工事を始めようとしたら本物のオーナーが現れて追い出される(お金も戻らない)。
●「二重契約」と転貸詐欺
同じ物件を複数の外資系企業に同時に賃貸契約させ、保証金を二重取りして連絡が取れなくなる。
●偽の土地・開発投資
政府の許認可が降りていない、あるいは存在しない「スマートシティ・リゾート開発」の投資話を持ちかけられ、出資金を騙し取られる。
💡 対策解説
●「土地使用権証明書(レッドブック)」の原本確認
貸主が本当に合法的な所有者か、賃貸権限を持っているか、現地弁護士を通じて登記簿(レッドブック)を直接確認します。特に分譲マンションについては要注意で、すぐに発行されるケースもありますが、開発元が税を滞納していたりすると、政府から発行されないケースがあります。現地の皆さんは、そんな中でも転売するようですが、外国人が購入する際には、必ずこのレッドブックについて確認をしてください。
●消防・用途ライセンスの「事前特約」を契約書に入れる
「〇〇業種の許認可(消防許可等)が取得できなかった場合、契約は無効となり保証金は全額返金する」という解除条項(特約)を契約書(Lease Agreement)に必ず明記します。
●手付金・保証金の分割支払い
契約時に全額を支払うのではなく、許認可の取得進捗に応じた分割払い(エスクロー口座の利用等)を徹底します。

2. ローカルパートナー・名義貸しの罠
●会社・店舗の「乗っ取り」
外資規制を回避するためにベトナム人名義(名義貸し)で会社や店舗を設立した結果、事業が軌道に乗ったタイミングで名義人に資産や口座を丸ごと奪われ、追い出される。
●合弁相手の裏切り・二重帳簿
ローカルパートナーが裏で別会社を作り、メインの利益や顧客リストをそちらに流出させて本社には赤字だけを報告する。
💡 対策解説
●安易な「名義貸し」を排除する
実質的所有者(BO)への規制強化に伴い、名義貸しスキームは資産を失うリスクが極めて高くなっています。時間がかかっても正規の外資ライセンス(IRC/ERC)を取得して進出するのが最も安全です。
●合弁契約書(JVA)の厳格化
合弁会社を作る場合は、重大決議に対する拒否権(拒否権付特別決議など)の保持や、取締役の解任権などを契約書(JVA)および定款に法的に明記します。
●デューデリジェンス(DD)の徹底
パートナー候補企業の財務・法務・背景・反社チェック(バックグラウンドチェック)を、日系の現地法律事務所や調査機関に依頼して実施します。

3. コンサル・許認可代行の詐欺
●「裏金(賄賂)でライセンスが取れる」詐欺
「政府高官にパイプがあるから特例で許認可を取ってあげる」と高額なコンサル料や特例手数料を請求され、結局ライセンスは発行されずコンサル会社も消える。
●偽の許認可証の発行
精巧に作られた偽物の許可証(消防・衛生・事業ライセンス)を渡され、営業開始後に当局の査察が入って即座に営業停止・巨額の罰金を打たれる。
💡 対策解説
●「裏金・コネ(賄賂)」をアピールするコンサルは排除する
「政府高官にパイプがあるから特例で通せる」という営業トークは、詐欺か将来的なコンプライアンス違反(FCPA/不正競争防止法違反)の引き金になります。
●成功報酬型+成果物の定義
コンサルティング費用は「申請時」「ライセンス発行完了時」のように成果物(実際の許可証)の発行と連動した成功報酬型で支払う契約にします。
●発行されたライセンスの「原本検証」
偽の許可証を発行されるケースもあるため、発行されたライセンスが当局の公的データベースに登録されているか、弁護士を通じて確認します。

4. 社内・現地幹部による横領・キックバック
●仕入れ・内装工事のキックバック(裏金)
現地採用の日本人幹部やベトナム人マネージャーが、内装業者や仕入れ先と裏で通託し、相場より大幅に高い金額で発注して差額を自分のポケットに入れる。
●会社資金の持ち逃げ・経費の不正請求
小口現金や会社の銀行口座を任せていたスタッフが、テト(旧正月)前後に資金を私的流用・持ち逃げしてそのまま退職・音信不通になる。
💡 対策解説
●「印鑑(公印)」と「銀行口座」の管理分離
会社の公印(会社印)と銀行のトークン(振込承認デバイス)を同じ人物に持たせない構造を作ります(例:現地総支配人が申請し、日本の本社役員がオンラインで最終承認する)。
●相見積もりと発注承認のルール化
一定金額以上の内装工事や仕入れに関しては、必ず3社以上の相見積もりを取り、日本人責任者の承認を必須にします。
●抜き打ち外部監査(会計・労務監査)
毎年1〜2回、現地から独立した日系の公認会計士・税理士事務所による抜き打ちの内部監査を実施します。

5. M&A(企業買収)の粉飾・隠れ負債
●粉飾決算と「隠れ負債」の引き継ぎ
既存会社を買収(M&A)した際、デュードリジェンス(事前に資産や負債を調べる調査)が甘く、買収後に未払い税金・未払い社会保険料・簿外債務が大量発覚する。
●ノウハウと顧客を連れて即独立
買収した会社の旧経営陣やキーマンが、買収後すぐに主要顧客と従業員をごっそり引き抜いて競合他社を立ち上げる。
💡 対策解説
●包括的なデューデリジェンス(FDD・LDD)の実施
会計事務所・法律事務所を入れ、未払い税金、未払い社会保険料、未払いの残業代、簿外債務の有無を徹底的に精査します。
●買収資金の「エスクロー保留(Holdback)」
買収額の10〜20%を「1年間保留金」としてプールしておき、買収後に隠れ負債や粉飾が見つかった場合はその保留金から相殺・減額できる契約スキーム(表明保証・補償条項)を組み込みます。
●キーマンの「競業避止義務」と「拘束期間」の設定
旧経営陣やキーマンに対し、買収後3〜5年間は同一エリアでの同業種立ち上げを禁止する競業避止契約を結び、引き継ぎ期間中のインセンティブ構造(Earn-out手法など)を設計します。

じつは先日、ハノイ市内で長年営業していた日系スーパーが、突然閉店しました。また、知り合いの飲食店も、今年初めころに突然閉店のお知らせが・・・・・。
実は、この両方ともに、お書きした2番と3番に関連した事例でした。
日系スーパーは、賃貸していた物件が、本来オフィスビルとして登録されていた物件だったようで、飲食料品販売のお店では営業許可はできないことが理由だったそうです。
飲食店のほうは、名義借り運営だったのか、賃貸主とライセンス主のトラブルに巻き込まれ、賃貸主から即日の退去命令がでたそうです。
ここで極意
「ベトナムだから口約束や特別ルールで通る」「知人の紹介だから大丈夫」もっとも最悪な「お金で解決」というのは、はるか昔の話で、その甘い考えが最大の隙になります。公証文書の確認・独立した第三者(日系法律事務所等)によるバックグラウンドチェック・印鑑と口座管理の厳格化が基本かつ最強の防壁です。
ここまでの内容には、現地在住の日本人が加担するケースも少なくありません。
また、100%日系企業をM&Aしたとしても、こうしたことは起こります。
これは、私自身の経験談ですが、ホーチミンの日系100%の会社をM&Aをした際、過去に日本の本社から借り入れしていたものが、その借り入れの銀行登録が抹消されていないことが発覚しました。
経営母体が変わることから、代表取締役の交代手続きなどは、この借り入れ登録を抹消しない限り手続きすることが不可だと指導があり、この銀行登録の抹消を日本企業に求めましたが、「抹消手続きは会計事務所に一任した」の一点張り、当時の会計事務所に問い合わせても音信不通の状態で、いまだに解決していないそうです。(私は3年前に経営から離脱)
【注意解説】
ベトナム現地法人が日本の親会社(本社)から資金を借り入れる場合、ベトナム国家銀行(SBV)等の規定に基づき、「中長期融資(返済期間1年超)」か「短期融資(返済期間1年以内)」かによって銀行手続きの流れが違いますが、その指定された銀行に登録義務があります。
というように、ベトナムには様々なルールがあります。
時間がかかったとしても、裏金で許認可を取得したり、許可の前に不動産を借りたり、知り合いだからと言ってお金を預けたりは一番危険な行為ですからね、お気を付けください。

そして、ハノイ市内で飲食店などで事業展開をお考えの皆さんは、いまハノイで起きているインフラなどに関する総合計画を知っておく必要があります。
ハノイ市はかつてのホアンキエム区(旧市街)周辺を中心とした一極集中から、公共交通指向型開発(TOD)と都市鉄道(メトロ)網の抜本的拡張(将来的に総延長1,100km超構想)軸にした「多極・多中心(マルチコア)モデル」へと本格転換が始まりました。
これにより、従来の中心部であった個所が、大規模な道路やメトロ(地下鉄)の工事が進み、工事エリアの建物などは立ち退きが始まっています。
このエリアを確認しておかないと、折角オープンしたお店が、数ケ月後には立ち退き対象になんてことにもなりかねません。
日本と違い、賃貸物件の場合は、立ち退きへの政府補償はないそうなので、完全に大損してしまいます。
立ち退き対象なのに、それを偽るケースも増えているそうなので、注意が必要です。

参考までに、今後のハノイ市内がどう変わるのかを簡単に書くと、
「ハノイ首都総合計画(100年ビジョン)」
に見る
「今後のハノイの中心地」
1. [実質的な経済・行政中心]西部エリア
(カウザイ区・ナムトゥリエム区・ホアラック)
短期〜中期にかけて、最も成熟し実用的なビジネス・行政の中心地として機能しています。
2. [未来の国際スマート新都市]
北部エリア(ドンアン県・ソクソン県)
紅河(ホン川)を渡った北側は、中長期における最大の目玉となる「未来型の国際新中心地」です。
3. [都市の象徴的景観軸]
紅河(ホン川)沿い・両岸エリア
ハノイ市が「ホン川を生態系・文化・都市発展の主軸」と位置づけたことで、都市構造の「軸」自体が従来の陸側から「河川沿い」へと拡張しています。
4. [生活・ローカル商業の中心]
メトロTOD拠点(主要乗り換え駅周辺)
特定の大きな「区」だけでなく、メトロ主要駅周辺のピンポイントなエリアが生活・商業のミクロな中心地になります。
こんな感じに変わるそうなので、今までのような単一の街に人が集まる構造ではなく、上記のように役割分担された「多極体制」になるといえますので、この将来構想を見据えた事業展開が必要ですね。
ライセンス料なども、事業内容と投資内容により違うなど、ここに書いていないことがまだまだあります。
許認可事項に関しては、担当者が変わると、差し戻されることがありますが、仮に何度戻されても、いくら時間がかかったとしても、裏金のような無駄なお金を使うより、時間と労力のほうが無駄になりません。
弁護士、会計士についても、第三者を介さずに、きちんとしたビジネス通訳を介し、その場に立ち会うことをお勧めします。
いくら信用しているパートナーでもです。
また、契約書は紙くずと同じという考えをもつベトナム人も少なからずいますので、契約書=安心というわけでもないことにも注意です。
長々と書きましたが、参考になれば幸いです。
何かありましたら、ご相談にはいつでも乗りますよ。
ではまた、