心の傷、と見てまず初めに思うのが「キロン」だという人は多いと思う。
確かに心の傷はキロンによって生まれ、
その人の生きづらさや不安感に繋がるケースも多い。
しかし土星というのもその人の「生きにくさ」や「傷」に通ずるものがある。

共通して言えるのはその人を支配するのは「安心感」ではなく「不安感」や「恐怖心」である。
例えば4ハウスのキロンは、
幼少期に心の安心感を得られず育ち、
大人になっても気持ちが安定せず、
不安感を持っていることがある。

土星が4ハウスに入った場合は、
幼少期の家庭の「しつけ」や「ルール」により、その人は気持ちを出すことに対し「恐怖」を覚え、「自制」が働くケースもあると思う。

キロンは「不安」による障害、
土星は「恐怖」による障害と捉えられる。

さらに共通して言えるのは、
2つとも「理解することで癒しへ繋がる」ということだ。

心理学でいう受容というのは、
安心感の形成である。
「私はこの事に対し不安(恐怖)を感じている」という理解が受容に繋がる。
西洋占星術でいうと、

土星(山羊座)に対し、月(蟹座)のような向き合い方をするというイメージに近しい。


受容とは月(蟹座)と繋がるものがあり、

例えるなら小さい子供と母親のような関係を想像してほしい。

自分の要求や気持ちを受容してもらった経験がある人は、相手の要求や気持ちに対しても理解出来る大人になる。

逆に受容されずにいると、自分の気持ちを出すことはいけない事だと「恐怖」を抱き、自制するようになる。

そして、自分の気持ちを全面に押し出してくる人に対し「嫌悪感」を抱いてしまうということだ。


自分を受容された人は、
自分を受容する事ができ、物事に対して上手に向き合うことが出来る。

逆に受容出来ずにいると、
恐怖心や不安感から逃避したり、
こだわって苦しむことになる。
あるいは「投影」として、
自分が恐怖心を受容出来ずにいると
誰かから支配を受けたり、自分のコンプレックスに向き合わされたりすることもある。

さらには、受容出来ないことはかえって自分の求めている理想からは遠ざかっていく場合もある。


例えば以前の記事にも繋がるが、

太陽と土星の組み合わせは、「目標を達成出来なかったときの恐怖」がある。(これは0度の場合顕著)

その恐怖を自分が感じていると気付かない場合、

目標に対しナーバスで、怠惰的になるケースがある。失敗することが怖いので、そもそも「やろう」としないのだ。

しかし、本人の意識としては「やらなければいけない」と分かっているのに何故か「やれない」のだ。

そうなると、結局他人から叱られ、制御される部分が出てくるのだが、これは土星を受容出来なかった投影に値する。

しかし、出生図の土星は他人に対しては頑固な部分もあり、自分で、自分の恐れている対象へ気付くしかない。

むしろ、他人に投影された場合は、

やらなかった自分を自制してくる相手に対し、「鬱陶しさ」を感じることもあるだろう。

まさに負のループである。


土星の守護星の山羊座で、

同じアスペクトを形成しているケースだと、

性質上「努力しない」という方面では出ないようだが、

やはり「失敗に対しての恐れ」が自身への切迫感へ繋がっており、苦しみとして表れていた。


受容すれば、「これからどうしたら良いのか」が理解出来る上、
自分なりの活かし方が出来るだろう。
キロンにおいては「同じ不安感を持つ人への癒し手」に、
土星においては「人を強制せず、建設的に活かすこと、自分への安心感」に
繋がるだろう。

恐怖心やコンプレックスは「嫌悪」にも繋がりかねない。
自分が恐怖やコンプレックスを抱くものを見て、「嫌悪」するのは、
自分の恐怖やコンプレックスを受容出来ないというところにある。

「見せられている」「向き合わされている」という感覚に近い。

自分のシャドウ(心理的不安、コンプレックス、恐怖)は無意識になっている部分もあり、

「何故嫌いなのか」の本質に気付かないケースもある。

(もちろん、自分とかけ離れすぎて理解に苦しみ、「嫌悪」になるケースも多くあるが、自身の弱さを受け入れられない為に嫌悪感を抱くケースは多くある。)


恐怖の対象に対して過敏になるのは防衛本能として当然の結果だろう。

他の人は気にならない部分が、自分にとっては異常に気になるというのは心理的恐怖心や不安感による影響である。


よく「自分を愛せない人は他人を愛せない」と言うが、実に分かりにくい表現であると思う。
要は、「自分の弱さを受容出来ない人は他人を受容出来ない」ということである。

弱さや恐怖、コンプレックスに対し気付いた際、

「だからダメってこと?」というのは

それ自体が受容出来ていない証拠だ。

「そういう部分があるから出来ない」というのも受容とはまた違ってくる。受容出来ない逃避である。

ダメなのではなく、「そうである」という事実だけが存在しているだけだ。

「そのような部分がある」というのをまずは単純に客観的に理解し、意識すると良い。

自分を他人のように見つめ、言葉を投げかけてみても良い。


太陽土星は「失敗するのが怖いから、目標に対して切迫感を感じるんだね」、

水星土星は「失敗するのが怖いから、過度に「こうしなくてはならない」「こう考えるべきだ」って思うんだよね」「恐怖を感じるから、やり方や考え方が切迫感になるんだよね」、

金星土星は「嫌われたり、愛されなかった場合に傷つくのが怖いから、愛情を受け入れられないんだね」等。


それこそが自分自身を許す呼びかけのようになり、自分を許せた人はどのように自分のパワーを使っていくことが現実的なのか見つめられるようになる。

他人に対する陰険さや受容力が変わってくるだろう。


キロンの場合は自分のコンプレックスを理解し、変容させようとするのではなく、

「同じコンプレックスへの理解者」として活かすと使いやすいと思う。

強がるのではなくバカボンパパのような「それで良いのだ」精神である。


生きにくさを感じる人には、
自分の土星やキロンについて理解をすることを大事にしてほしいと思う。

占いについて、「当たっている」というのは

「理解出来る」ということであると思う。

そのカード、天体の意味を本人がどう作用しているかを「理解出来る」ということだ。

その為には「理解出来る表現」というのはとても必要だと思う。

例え、術者が理解出来ていても、分かりやすい「表現」でなければ、相手の気持ちに響かないからだ。


「極端すぎる」表現は火星イメージになり、相手を抉ることもあり得る。

逆に海王星イメージを上手く言語化(水星)出来れば、深い理解や癒しに繋がるのだと思う。


タロットや西洋占星術には、

根っこに深い裏付けや理由があるのだが、

それを優先し過ぎるとかえってズレたり伝わりにくくなることがある。術者側の混乱もあり得る。

まずは分かりやすい「イメージ」を持ち、

それを伝えた上で根元の裏付けを伝えていく方が相手にとっての「理解」に繋がるのだろう。


占いを受けるお客さん側としては、

分かりやすいイメージから深い理解へ進む方がスムーズだろう。

まず難解な裏付けから、簡易的な「イメージ」を説明したとしても「ああ、そういうことか。ようやく理解出来た」となりがちだと思われる。

初めて聞く情報は人を疲弊させる部分がある。


「理解」による喜びと癒しを感じた後に裏付けを聞く方が聞き入れやすくなるだろう。


「夢を与える」ことが占いの本質ではなく、

自分の気持ちを深く理解することで前向きな「夢」や「癒し」を感じられることが本質であってほしい。


今回のタイトルはネイタルチャートについてです。

退職するまでに2人教育担当として関わったのですが、両方に感じた共通点と、
共通していたアスペクトがあったのです。

それは、「太陽と土星がコンジャンクションしている」ということ。
昔はこのアスペクトを「真面目な人だ」としか解読していなかったのですが、
あまり良いように作用しないのだなと感じました。

2人に共通していたのは
「理想が現実と乖離していて、
地道にやるというより、遥か高い天井(目標)を見てメソメソしている」というところでした。
目標に対しとても悲観的だったのです。

こちらがプレッシャーを与えたりしなくとも、

「だってここまでやれるようにならないといけないじゃないですか」と教えてもないところまで心配していました。


自らどんどん目標を高くし、

自ら潰れていくところがあったように思います。


そしてそんな意識の高さを出すのに

何故か目の前にある課題をやろうとしないのです。


太陽と土星のコンジャンクションがある場合は、
生真面目な気質故に「目標を達成できなかったら…」という恐怖故に、
努力することを怠るケースがあり、
悲観的になったり、「出来ないかもしれない」と言うことで、ハードルを極端に下げる傾向があるようです。

私にとって、とても不思議な価値観でした。
目標の為に努力することは必然であり、
努力しなければ建設的ではないと話すと、
「そうですよね…」と答えはするものの、
やはり必要な業務の勉強をやってこないのです。
そして2人ともやらなかったことに対し後悔して泣くのです…。
これはとても不思議でした。
しかし、読んでみると彼女達は目標を達成出来なかった時の恐怖感に怯えていたのだと感じました。

こう考えるとある種のプライドとも読めますが、

この恐怖心は親との関係性によるものが大きいようです。

2人に関わるまでは、仕事において、

この気質は「真面目に取り組む性格で忍耐強い」と出ると予測していたのですが、

まさかの逆を行ったことにギョッとしました。
上手に使えてる人をまだ見たことがないので、このイメージのままになってしまいそうなのですが…。
上手く使うには、やはり土星なので「極度に恐怖を感じないで長い目で現実を見ながら頑張ってみる」ということなのかなと思います。

あとはやって来なくても極端に叱ったりしないこと。目標へのプレッシャーを上げないこと、かなと考察しています。
実際2人には「高いところを見ると首が痛くなるし、メソメソ泣いてるだけじゃずっとそのままなのだから、まずは少し先だけを見て一歩一歩進もうね」と伝えてはいましたが、年齢をしっかり重ねるまでは使いにくいアスペクトなのかなと感じました。

自分で乗り越えなければいけない困難のようなので、他人がどうこう出来る問題ではないのでしょうね。