「朝星夜星」朝井まかて、PHP研究所、本体価格2200円
洋食料理人の域を超えた草野丈吉という小柄な男、
長崎から始まり、大阪・神戸・京都にまでホテルやレストラン等を経営していきます
長崎の頃は陸奥宗光や、あの竜馬らしき男に、やがて財閥を築く岩崎弥太郎等も訪れます
そして何よりも、政府の要人と外国人客をもてなしたりします
その妻ゆきは、大柄で料理は不得意で、大まかな性格、なんかホッとするものがあります
二人は2女1男をもうけますが、子どもたちの成長(特に長女きん)も興味深い
丈吉の女好きな面も紙面を割いています
一新で世の中は変わりますが、
丈吉は自分の仕事が外交の一助となれば良いという考えです
男と生まれたからには世のために尽くしたい!
同時代の偉人たちも同じです
外国との不平等条約を撤廃し、日本を一等国にするべく尽力します
その諸外国要人との会食の場所を提供するのが丈吉の役目です
色々の障害を乗り越えつつも、天災にも見舞われ、激動の中を生きていきます
水の街大阪も豪雨で水害に見舞われ、橋も幾つも崩壊しました
丈吉は私財で仮橋を短期間でかけました
天皇の晩餐も供した丈吉も無理が祟り、肋膜炎でアッサリと亡くなります
息子もアメリカで病没します
知人も次々にこの世をさりました
明治も45年の終わりを迎え、
ゆきはお墓で3人の女(丈吉の妾だった)と思いに耽ります
長崎に帰ろう
その前に美味しいもの食べて、
お酒もいただきましょう
今の政治家(特に自公)と企業人(特に経団連や同友会)に読んでもらいたい一冊です
500ページですが長くは感じません
今の時代にも不平等条約はあります
日本が今一度一等国になるよう願うばかりです